スポーツ用品を買う前に決めておくこと
まず「何のために、どれくらい動くか」を決める
スポーツ用品の選び方は、運動の目的で大きく変わります。 健康のために歩く人と、大会に出るために走る人では、必要なシューズの性能も、かけてよい金額も違います。 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に対し、歩行かそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)行うよう推奨しています。 運動としては、息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日行う内容が示されています。 同じガイドでは、個人差を踏まえて強度や量を調整し、可能なものから取り組むという方向性も示されています。 つまり、最初から高い目標に合わせて道具をそろえるのではなく、いま続けられそうな頻度に合わせて買うほうが無駄が出にくくなります。 週に1回しか動けない人が、毎日使う前提の装備を買っても、使う場面がありません。 逆に、週に3回以上走る予定なら、シューズだけは余裕をもって選んでおくと、足の疲れや痛みの相談をせずに済みます。最初に買うものと、あとから足すものを分ける
初心者が最初にそろえるのは、足を守るシューズと、汗を逃がせるウェアです。 それ以外は、続けてみて不便を感じてから買い足して問題ありません。| 区分 | 具体例 | 買う時期の考え方 |
|---|---|---|
| 最初に買う | 競技に合ったシューズ、吸汗速乾性のあるシャツ、動きやすいパンツ | 運動を始める前。体に直接触れ、けがにも関わるため |
| 必要に応じて買う | ヨガマット、ダンベル、グローブ、ヘルメットなどの防具 | 競技やメニューが決まった時点。防具は安全に関わるので先送りにしない |
| 続けてから買う | スマートウォッチ、コンプレッションウェア、高機能ウェア | 1〜3か月ほど続けて、必要性がはっきりしてから |
運動を始める前に、血圧や心臓、関節などで気になる症状がある人は、かかりつけの医師に運動してよいか確認してください。
運動中に胸の痛みやめまい、強い息苦しさが出たときは、すぐに中止してください。
店に行く前にメモしておくこと
店に行く前に、次の項目を書き出しておくと、店員への相談が具体的になります。- やりたい運動と、1週間あたりの回数
- 走る場所や使う場所(舗装路、トレッドミル、体育館、山道など)
- いま持っている靴のサイズと、足が痛くなった経験
- 使える予算の上限
- いつまでに必要か(大会、入会日、部活の開始日など)
競技別に見るスポーツ用品の選び方
ランニング・ウォーキング
ランニングやウォーキングで最も大切な道具は、シューズです。 初心者は、クッションがしっかりしていて、かかとを包み込む形のモデルから試すと選びやすくなります。 歩く目的が中心の人は、軽さよりも、つま先の余裕と、歩いたときにかかとがずれないかを確認してください。 走る場所が舗装路中心か、公園の土の道か、ランニングマシンかによっても、向くソールは変わります。 ウェアは、綿のTシャツより、ポリエステルなどの吸汗速乾素材のほうが、汗をかいたあとに肌に張りつきにくくなります。 夜に走る人は、反射材の付いたウェアやライトも選択肢に入ります。 ウォーキング用ポールのように、SGマークの対象になっている品目もあります。 記録を取る機器やシミュレーション機器まで検討する段階になったら、次の記事も参考になります。
まずは基本の道具をそろえてから、必要に応じて機器を足していけば、買い物で迷いません。
ジム・筋トレ
ジムで使う道具は、通うジムの設備によって変わります。 シューズは、ランニングマシンを使うならクッションのあるもの、バーベルを担ぐ種目が多いなら底が平らで安定するものが向いています。 ウェアは、肩や股関節を大きく動かしても引っかからない伸縮性が条件です。 グローブやベルト、リストストラップは、重量を扱うようになってから検討すれば間に合います。 最初から購入せず、ジムの貸し出しや、トレーナーの助言を受けてから決めると失敗が減ります。 筋力トレーニングの頻度は、国のガイドで週2〜3日が一つの目安です。 毎日通う前提で道具を増やすより、週2〜3回の習慣を作るほうが先です。 ジムの利用ルールや混みにくい時間帯は、通い始める前に知っておくと気後れしません。 次の記事で、ジムの通い方のルールをまとめています。
ルールを知っておくと、持ち物や服装の準備も具体的になります。
ヨガ・ピラティス
ヨガやピラティスは、道具が少なく済む運動です。 必要なのは、ヨガマットと、体にフィットして裾がめくれにくいウェアです。 マットは、手足が滑らないことと、膝や背中を床につけたときに痛くない厚みの2点で選びます。 薄すぎるマットは持ち運びが楽な反面、膝や手首に負担がかかりやすくなります。 スタジオで貸し出しがある場合は、先に何度か借りて、好みの厚みや感触を確かめてから買うと無駄がありません。 ウェアは、前かがみや逆さの姿勢でもずれにくいものを選びます。 胸まわりのサポートが必要な人は、運動の強度に合ったスポーツブラを使ってください。 選び方は、次の記事で詳しく説明しています。
強度ごとにサポート力が違うため、運動の種類に合わせて確認しておくと安心です。
球技・武道・登山などの競技スポーツ
野球、サッカー、バドミントン、剣道、登山のように競技が決まっている場合は、競技専用の道具が必要になります。 このとき、頭部や顔を守る防具は、価格より安全基準を優先してください。 製品安全協会のSGマーク対象品目には、野球及びソフトボール用ヘルメット、捕手及び球審用ヘルメット、非木製バット、バドミントンラケット、スノーレジャー用ヘルメット、スポーツ用アイガード、竹刀、剣道具、登山用ロープなどが含まれています。 部活動や地域のチームに入る場合は、指定の道具や基準があることが多いので、購入前に顧問や指導者に確認してください。 用具を共有するスポーツでは、サイズ違いを買い直す費用が重くなりやすいため、成長期の子どもは中古やレンタルも検討対象になります。 ただし、ヘルメットなどの防具は、使用歴が分からない中古品を避けたほうが安全です。シューズとウェアで失敗しない確認ポイント
シューズのサイズは、履いて歩いて決める
シューズは、表示サイズだけで選ぶと失敗しやすい用品です。 同じ27.0cmでも、メーカーや型によって足入れの印象が違います。 試し履きでは、次の点を確認してください。- つま先に指が動かせる余裕があるか
- かかとが浮かず、歩いたときにずれないか
- 足の甲や小指側が締めつけられていないか
- 普段使う厚さのスポーツソックスを履いて試したか
- 店内を数分歩いたり、軽く走ったりしても痛みがないか
ウェアは「素材」と「用途」で選ぶ
ウェアを選ぶときは、デザインよりも、タグの素材表示と用途を見ます。| 確認項目 | 見るところ | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 吸汗速乾性 | ポリエステルなどの化学繊維か、吸汗速乾の表記があるか | 汗を多くかく運動全般 |
| 伸縮性 | ポリウレタンなど伸びる素材が混ざっているか | ヨガ、筋トレ、球技 |
| 防寒・防風 | 裏起毛や防風素材の表記 | 冬の屋外ランニング、ウォーキング |
| 紫外線対策 | UVカットの表記 | 夏の屋外スポーツ |
| 視認性 | 反射材の有無 | 夜や早朝に走る人 |
着圧をうたう商品は、「疲労回復」や「引き締め」などの効果を前面に出した広告も見られます。
効果の感じ方には個人差があるため、試着して締めつけが強すぎないかを確かめ、体に異常を感じたら使用をやめてください。
実店舗・ネット通販・中古の使い分け
購入先ごとの違いを比べる
スポーツ用品は、買う場所によって得られるものが違います。| 購入先 | 向いている買い方 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 実店舗 | 初めて買うシューズ、サイズ選びに不安がある用品 | 定価に近い価格になりやすい。店舗ごとに在庫と接客の質が違う |
| 公式オンラインショップ | サイズと型番が決まっているものの買い足し | 送料や返品条件が店ごとに異なる |
| 総合通販サイト | 消耗品や、型番がはっきりした商品の価格比較 | 販売元が店舗か個人出品かを確認する |
| アウトレット・型落ち品 | 最新モデルにこだわらない人 | サイズや色が限られる。試着できない場合がある |
| 中古・フリマ | 子どもの成長で使う期間が短い用品、始めたばかりの競技の入門用 | 状態の見極めが難しく、偽物や劣化のリスクがある |
ネット通販で返品できるか、買う前に確認する
ネット通販で買ったスポーツ用品を、サイズが合わなかったので返したい場面はよくあります。 消費者庁の特定商取引法のガイドでは、通信販売の広告に返品特約がある場合、返品の可否、期間などの条件、返品送料の負担について表示が必要とされています。 ネット通販では、最終確認画面にも表示することが定められています。 広告に返品特約の表示がなければ、商品を受け取った日から8日以内は、送料を消費者が負担する形で契約の申込みの撤回や解除(返品)ができるとされています。 返品特約が表示されている場合は、その特約が優先されます。 そのため、買う前に確認する項目は次の3つです。- 返品や交換ができるか
- 返品できる期間は何日か
- 返品の送料を、購入者と店のどちらが負担するか
スグレタブログ編集部フリマアプリや中古で買うときの注意
フリマアプリは安く買える一方、個人間の取引です。 国民生活センターは、フリマサービスで購入した商品が偽物だった、出品した商品が返品時にすり替えられていたといったトラブルについて注意を呼びかけています。 トラブルになったときの流れとして、同センターは次の順番を示しています。- まず当事者間で十分に話し合う
- 解決しなければ、フリマサービス運営事業者に連絡し、鑑定サービスや補償制度の利用、調査への協力を確認する
- それでも進まない場合は、最寄りの消費生活センターに相談する(消費者ホットライン188)
- ヘルメットなど、衝撃を受けると性能が落ちる防具を中古で買う(使用歴や事故歴が分からない)
- シューズの底がすり減っているのに、「ほぼ新品」の説明だけで判断する
- ブランド品なのに型番やタグの写真がない出品を選ぶ
安全に関わる用品は「SGマーク」を目印にする
SGマークで何が保証されるのか
SGマークは、製品安全協会が運営する制度です。 安全基準、製品認証、事故が起きたときの賠償が一体になった制度とされています。 SGマーク付きの製品の欠陥が原因で人身事故が起きた場合は、治療費などの人的損害が賠償されます。 賠償金額の上限は、一事故あたり1億円です。 賠償の対象になるのは、次の3つをすべて満たした場合です。- SGマーク付き製品によって人的損害が生じたと認められること
- 製品に欠陥が認められること
- 事故と製品の欠陥に因果関係が認められること
SGマークの対象になっているスポーツ用品
製品安全協会のスポーツ・レジャー用品の一覧には、野球及びソフトボール用ヘルメット、非木製バット、スノーレジャー用ヘルメット、バドミントンラケット、ゴルフクラブ、竹刀、剣道具、とびなわ、一般運動用マット、ウォーキング用ポール、トレッキング用ポールなどがあります。 一方で、ランニングシューズやスポーツウェアは、この一覧には含まれていません。 シューズやウェアは、SGマークではなく、サイズ・素材・用途で選ぶことになります。 防具を買うときは、SGマークの有無と、競技団体や学校、チームが指定する基準の両方を確認してください。買い替え時期と手入れ
買い替えの合図は、距離や年数より「状態」で見る
シューズの寿命は、使う頻度や体重、路面で大きく変わります。 走行距離の目安は、メーカーや用途によって違い、公式に確認できる共通の数字はありませんでした。 そのため、本記事では距離の数字は示さず、次のような状態を買い替えの合図としてください。- 靴底のゴムがすり減り、地面の凹凸を強く感じる
- 中底や、ソール中間のクッション材にしわや、へこみが目立つ
- 以前より足や膝が疲れやすくなった
- 平らな場所に置くと、傾いて見える
- アッパー(甲の部分)に破れや、ほつれがある
洗濯表示を見て、傷みを遅らせる
スポーツウェアは、汗や皮脂が残ると、においや生地の傷みの原因になります。 洗うときは、タグの洗濯表示を確認してください。 消費者庁の案内では、洗濯表示はJIS L 0001に基づく5つの基本記号(洗濯、漂白、乾燥、アイロン、商業クリーニング)で表されます。 洗濯おけの記号は、洗濯温度の上限と、最も強くできる洗濯処理を示しています。 漂白の記号は、次のように区別します。| 記号の意味 | 使える漂白剤 |
|---|---|
| 塩素系・酸素系ともに可 | 塩素系漂白剤、酸素系漂白剤 |
| 酸素系のみ可 | 酸素系漂白剤のみ。塩素系は使えない |
| 漂白不可 | どちらも使わない |
目的別に見る、買い方の組み立て
予算を決めるときの優先順位
予算が限られているときは、体に直接影響する順に配分します。- シューズ(足と関節を守る)
- 防具(頭、顔、手首などを守る)
- ウェア(汗、気温、動きやすさに合わせる)
- 小物(ボトル、タオル、バッグなど)
- 記録・補助機器(時計、トラッカー、コンプレッションなど)
こんな人はこう選ぶ
- 週に1回、近所を歩くだけの人:すでに持っている歩きやすいスニーカーで始め、足が痛むようなら専用シューズを検討する
- ジムに通う予定の人:シューズとウェアのみ購入し、グローブなどはジムの様子を見てから決める
- 子どもの部活用に買う人:学校やチームの指定を確認し、成長で買い替えやすい用品は中古やお下がりも選択肢にする
- 大会や記録を目指す人:実店舗でフィッティングを受け、練習用と本番用で使い分けるかを決める
購入前の最終チェック
レジに進む前に、次の点を見直すと、買い直しを減らせます。- この道具を使う運動は、週に何回になりそうか
- 持っている服や靴で、代わりになるものはないか
- サイズや型番は、店頭で試したものと一致しているか
- 返品や交換の条件を、購入ページや店頭の掲示で確認したか
- 防具の場合、チームや学校の指定、SGマークの有無を確認したか
- 置き場所と、洗濯や手入れの手間を想像できているか
スポーツ用品のよくある質問
スポーツ用品は何から買えばよいですか?
最初は、競技に合ったシューズと、汗をかいても快適に動けるウェアです。体に直接関わる用品なので、先に用意します。ヨガマットやダンベルなどは、メニューが決まってから買えば間に合います。
ランニングシューズは何キロで買い替えればよいですか?
距離の目安はメーカーや使い方で異なり、公的に確認できる共通の数字はありません。靴底のすり減り、クッションのへたり、アッパーの破れ、足や膝の疲れやすさといった状態で判断してください。
ネット通販で買ったシューズは、サイズが合わなければ返品できますか?
販売店の返品特約によります。広告に返品特約の表示がない場合は、商品を受け取った日から8日以内であれば、購入者の送料負担で返品できるとされています。特約が表示されている場合はその内容が優先されるので、購入前に確認してください。
SGマークは、ランニングシューズやウェアにも付いていますか?
製品安全協会のスポーツ・レジャー用品の一覧には、ヘルメット、バット、バドミントンラケット、竹刀、剣道具、ウォーキング用ポールなどがあり、ランニングシューズやウェアは含まれていません。
中古やフリマアプリで買っても大丈夫ですか?
入門用の用品や、子どもの成長で使う期間が短いものは選択肢になります。ただし偽物や状態の悪い商品のトラブルが報告されています。ヘルメットなどの防具は使用歴が分からないため、新品をおすすめします。
トラブルになったときの相談先はありますか?
まず出品者や販売店と話し合い、フリマの場合は運営事業者に問い合わせてください。解決しないときは、最寄りの消費生活センターに相談できます。消費者ホットライン188で案内を受けられます。


