終身保険とは?一生涯の死亡保障がつく保険
生命保険文化センターによると、終身保険は死亡保障が一生涯続く保険です。 保険期間が決まっていないため、満期保険金はありません。 その代わり、年数がたつにつれて解約返戻金が増えていきます。 保険金・給付金の種類は、死亡保険金と高度障害保険金の2つです。 高度障害保険金を受け取ると、契約はそこで終わります。保険料の払込期間は「有期払」と「終身払」から選ぶ
保険料を払う期間には、一定の期間や年齢まで払い込む「有期払」と、一生涯払い続ける「終身払」があります。 一般的に、終身払は有期払よりも毎回の保険料が安くなります。 ただし、終身払は定年後も保険料を払い続けるため、年金生活に入ってからの負担まで考えて選ぶ必要があります。- 有期払:60歳や65歳などで払い終える。払込中の保険料は高めだが、老後の負担がなくなる
- 終身払:毎回の保険料は安いが、払い終わる日がない
- 払込が終わったあとは、一生涯の死亡保障に代えて年金などに移行できる商品もある(会社により異なる)
契約できる年齢と保険金額も会社で違う
同じセンターの説明では、最低100万円程度から取り扱う会社があり、契約できる年齢は0歳から80〜85歳程度までと会社によって幅があります。 配当には、無配当、5年ごとの利差配当、毎年配当などのタイプがあります。 一般的に、無配当は配当のあるタイプより保険料が割安に設定されています。
スグレタブログ編集部終身保険と定期保険・養老保険の違い
保険の種類は、保障される期間と、満期保険金があるかどうかで整理すると分かりやすくなります。| 項目 | 終身保険 | 定期保険 | 養老保険 |
|---|---|---|---|
| 保障期間 | 一生涯 | 一定期間(10年、60歳までなど) | 一定期間 |
| 死亡したとき | 死亡保険金 | 期間内なら死亡保険金 | 期間内なら死亡保険金 |
| 満期保険金 | なし | なし | あり(死亡保険金と同額) |
| 解約返戻金 | 年数とともに増える | 商品による | 年数とともに増える |
| 保険料の水準 | 定期より高くなりやすい | 同じ保障額なら割安になりやすい | 保障と満期金の両方があるため高め |

終身保険と養老保険のどちらが自分に合うか迷う場合は、保障が一生続くか、満期で終わるかを先に決めると絞り込めます。
終身保険の主な種類
同じ終身保険でも、保険料の安さや解約返戻金の増え方、告知の厳しさが変わる商品が各社から出ています。 生命保険文化センターが紹介している代表的なタイプは次のとおりです。| タイプ | 特徴 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 低解約返戻金型 | 払込期間中の解約返戻金を抑えて、保険料を割安にした商品 | 払込期間中に解約すると返戻金が少ない |
| 積立終身保険 | 月払・年払で、払込期間中の保険金を払込保険料の累計額相当に抑え、高齢期の保障を手厚くした商品 | 若いうちの保障は小さい |
| 生存給付金付 | 生きている間、決まった時期に祝金が受け取れる | 祝金の有無や額で保険料が変わるため、受取額と保険料を見比べる |
| 引受基準緩和型(限定告知型) | 持病があっても、簡単な告知項目に該当しなければ加入できる | 保険料は割高。契約後1年など一定期間内の病気死亡は、保険金が半額に削減される商品がある |
| 無選択型 | 医師の診査も告知も不要 | 保険料は割高。契約後2年など一定期間内の病気死亡は、払い込んだ保険料相当額のみ |
| 積立利率変動型 | 積立利率を市場金利に合わせて見直す | 名前が似た「利率変動型積立終身保険」とは別の商品 |
| 外貨建て・市場価格調整(MVA)付き | 円以外の通貨や市場の動きに応じて金額が変わる | 市場リスクは契約者と受取人が負う |
解約返戻金の見方と、払込総額の計算例
終身保険の損得は、「払込総額」と「解約返戻金」の差で決まります。 申し込む前に、保険会社から「解約返戻金のご案内」や返戻金表をもらい、年ごとの金額を確認してください。払込総額を先に計算する
月払の保険料に、払い込む年数をかけると、払込総額が出ます。 たとえば、月1万円を30年払う場合、払込総額は1万円×12か月×30年=360万円です。 この契約を10年目に解約すると、その時点の払込総額は120万円です。返戻金表の10年目の欄が100万円なら、20万円の元本割れになります。 数字は計算の例です。実際の返戻金は、保険の種類、契約年齢、払込期間によって変わり、払込総額を下回る年も長く続くのが一般的です。返戻金表で確認する3つの点
- 何年目から返戻金が払込総額を上回るか
- 払込が終わる年と、終わった後の返戻金の増え方
- 低解約返戻金型の場合、返戻金が低く抑えられている期間はいつまでか
契約者・被保険者・受取人の決め方
保険契約には、保険料を払う「契約者」、保障の対象になる「被保険者」、保険金を受け取る「受取人」の3つの立場があります。 申込書には、契約者と被保険者がそれぞれ署名します。 終身保険では、この3者の組み合わせが、税金のかかり方を左右します。| 決め方の例 | 確認すること |
|---|---|
| 契約者と被保険者を本人にして、受取人を配偶者や子にする | 受取人が相続人なら、相続税の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)を使える |
| 契約者を親、被保険者を子にする | 子に保険料の支払い能力がなく、親が払う場合は、課税関係を税務署か税理士に確認する |
| 契約者と受取人を同じ人にする | 死亡保険金は所得税の対象になる。受取方法で一時所得か雑所得かが変わる |
終身保険のメリット
- 一生涯の保障が続く:保険期間が終身なので、保障が切れる心配がない
- 解約返戻金がたまる:年数がたつと増えていき、解約したり、契約者貸付を受けたりして使える場合がある
- 保険料が上がらない:加入時に決まった保険料を払い続ける形が一般的で、更新型の定期保険のように更新で上がることはない
- 葬儀費用や相続の備えにしやすい:保険期間が終身のため、亡くなった時期にかかわらず保険金が支払われる
- 税金の控除がある:生命保険料控除の対象になる
終身保険のデメリットと注意点
- 保険料が高くなりやすい:同じ保障額なら、期間が決まっている定期保険より高くなる傾向がある
- 早期に解約すると元本割れする:払込期間中に解約すると、払込総額を下回ることがほとんどだと生命保険文化センターは説明している
- 一時払でも損をすることがある:経過年数しだいで、解約返戻金が一時払保険料を下回る場合がある
- 将来の物価上昇に備えにくい:円建ての保険金額は契約時に決まるため、物価が上がると受取額で買えるものが減る可能性がある
- 途中の見直しがしにくい:契約を解いて入り直すと、年齢が上がった分だけ保険料が高くなる
スグレタブログ編集部終身保険にかかわる税金
生命保険料控除で所得税が軽くなる
国税庁のタックスアンサーによると、保険料を払ったときは、その年の所得から一定額を差し引く生命保険料控除を受けられます。 平成24年1月1日以後に結んだ契約(新契約)では、一般の生命保険料の控除額は次の表のとおりです。| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 2万円以下 | 支払保険料の全額 |
| 2万円超〜4万円以下 | 支払保険料×1/2+1万円 |
| 4万円超〜8万円以下 | 支払保険料×1/4+2万円 |
| 8万円超 | 一律4万円 |
死亡保険金は相続税・所得税・贈与税のどれかになる
死亡保険金にかかる税金は、被保険者、保険料を払った人、受取人の組み合わせで決まります。国税庁は、次のような整理を示しています。| 保険料を払った人と受取人 | かかる税金 |
|---|---|
| 被保険者が保険料を払い、相続人が受け取る | 相続税(非課税枠あり) |
| 保険料を払った人と受取人が同じ | 所得税(一時所得など) |
| 保険料を払った人と受取人が別で、払った人は被保険者でもない | 贈与税 |
満期・解約で戻ったお金は一時所得になる場合がある
保険料を払った人と受取人が同じ場合、死亡保険金を一時金で受け取ると、一時所得として所得税の対象になります。 国税庁の計算式では、受取額から払込保険料を引き、特別控除50万円を引いた金額の2分の1が、課税の対象になります。 たとえば、受取額が600万円で払込保険料が500万円なら、600万円−500万円−50万円=50万円で、その2分の1の25万円が課税対象です。 払込保険料が550万円なら、600万円−550万円=50万円で、特別控除を引くと0円になり、課税されません。 一時所得は、給与所得など他の所得と合算して税額を計算します。他に一時所得があるときは、合わせて考えます。終身保険はどんな人に向いている?
向き不向きは、「いつまで・いくら必要か」と「保険料を払い続けられるか」の2点で分かれます。| こんな人 | 考え方 |
|---|---|
| 葬儀費用や、残された家族に確実にお金を残したい | 金額が少なめの終身保険は検討しやすい |
| 相続税の納税資金や、相続人への現金を用意したい | 非課税限度額を使える。受取人は相続人にする |
| 子育て中で、今だけ大きな保障がほしい | 定期保険や収入保障保険のほうが、保険料を抑えられる場合が多い |
| 5年から10年以内にまとまったお金が必要になりそう | 早期解約は元本割れしやすく、預貯金など別の方法を考える |
| 持病があり、通常の保険に入れない | 引受基準緩和型などがあるが、保険料は割高で、削減期間がある |
申し込みの流れと確認すること
- 必要な保障額と、毎月払える保険料の上限を決める
- 複数の会社で、同じ条件の見積もりを取って比べる
- 申込書の内容と、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」を読む
- 「意向確認書面」で、自分の希望と合っているか確かめる
- 健康状態や傷病歴を、ありのままに告知する
- 保険証券が届いたら、申し込んだ内容と合っているか確認する
告知義務に違反すると保険金が出ないことがある
契約者と被保険者には、過去の傷病歴や現在の健康状態、職業などをありのままに告げる告知義務があります。 事実を告げなかったり、事実と違う内容を告げたりすると、契約が解除されて、保険金や給付金を受け取れなくなることがあります。 担当者に口頭で伝えただけでは、告知したことになりません。会社指定の医師への質問や、告知書への記入で伝えます。申し込み後の撤回はクーリング・オフ
申し込んだあとでも、クーリング・オフ制度で申し込みを撤回できます。 一般的に、クーリング・オフに関する書面を受け取った日か申込日のうち、遅いほうを含めて8日以内であれば、撤回できます。 会社によっては、期間を10日や15日などに延ばしています。撤回すれば、払った保険料は全額返金されます。 手続きは、生命保険会社の本社か支社あてに書面を郵送します。会社によっては、ホームページから申請できます。 医師の診査を受けた場合や、保険期間が1年以内の契約には、この制度は使えません。- 「必ず増える」「銀行より有利」とだけ強調する説明は、そのまま信じず、返戻金表で数字を確かめる
- 解約返戻金が払込総額を上回るのは何年目か、返戻金表で確かめる
- その保険料を、定年後も払い続けられるか計算する
- 外貨建て・変額の場合は、元本割れや為替の損失がありうることを確かめる
保険料が払えなくなったとき・解約する前に
保険料の負担が重くなっても、すぐに解約するのは避けたほうがよい場合があります。 生命保険文化センターによると、解約は契約者の意思でいつでもできますが、一度解約すると元には戻りません。 契約してから短い期間で解約すると、解約返戻金は全くないか、あってもごくわずかです。 もう一度加入する場合は、年齢が上がった分だけ保険料が高くなったり、健康状態によっては加入できなかったりします。 解約の前に、次の方法を検討できます。| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 保険金の減額 | 保険金額を減らして、以降の保険料を軽くする | 減らした部分は解約扱いになる |
| 払済保険 | 保険料の払込を止め、解約返戻金をもとに保障額の小さい保険に変更する | 付けていた特約は消える |
| 延長(定期)保険 | 払込を止め、死亡保障のみの定期保険に変更する | 保険期間が短くなる場合がある |
| 契約者貸付 | 解約返戻金の一定範囲内でお金を借りる | 複利の利息がつく。返済しないと保険金から差し引かれ、元利金が返戻金を超えると失効する |
困ったときの相談先
勧誘や契約の内容に不安があるときは、一人で抱え込まず、第三者に相談できます。 消費者ホットラインの番号は「188」で、かけると居住地域の消費生活相談窓口につないでもらえます。 契約した保険会社には、各社の相談窓口があります。生命保険協会や生命保険文化センターにも、生命保険に関する相談の案内があります。 保険金・給付金の請求で保険会社と見解が分かれたときも、これらの窓口に相談できます。 保険金の請求や加入時の審査も、電子化が進んでいます。仕組みと課題は、次の記事で整理しています。
オンラインで完結する手続きは早い反面、告知の内容や書面の確認を自分で進めることになります。画面上の確認項目も、紙の書類と同じように読んでください。
保険金を受け取るときの流れ
家族が亡くなったときに、保険金を請求できるのは受取人です。 生命保険文化センターの案内によると、支払事由が発生したら、保険証券や「ご契約のしおり・約款」で契約内容を確認し、すみやかに保険会社の担当者やコールセンターに連絡します。 請求書類は、保険会社のホームページなどから取り寄せます。会社によっては、WebサイトやアプリでWeb請求もできます。 契約内容によっては、複数の保険金や給付金を受け取れる場合があり、請求もれが起きやすいとされています。 終身保険以外に特約や別の保険に入っていた場合は、保険証券を一通り見て、すべて確認してください。 家族が契約内容を知らないままだと、請求が遅れたり、請求もれになったりします。- 加入している保険会社名と、保険証券の保管場所
- 契約者・被保険者・受取人が誰になっているか
- 終身保険のほかに、特約や別の保険に入っているか
終身保険のよくある質問
終身保険は途中で解約すると損をしますか?
保険料を払っている最中に解約した場合、戻ってくる返戻金は、払い込んだ総額に届かないのがほとんどです。一時払にした場合でも、経過年数によっては一時払保険料を下回ります。解約の前に、保険金の減額や払済保険への変更で続けられないかを確認してください。
終身保険と定期保険では、どちらを選ぶべきですか?
保障が必要な期間で決まります。一生涯の保障や、亡くなったときに確実に残したいお金があるなら終身保険、子育て期間だけなど期間が限られるなら定期保険のほうが、保険料を抑えられる場合が多くなります。
終身保険の保険金に税金はかかりますか?
保険料を払った人、被保険者、受取人の組み合わせで、相続税・所得税・贈与税のどれかがかかります。被保険者が保険料を払い、相続人が受け取る場合は、500万円×法定相続人の数が相続税の非課税限度額です。
持病があっても終身保険に入れますか?
引受基準緩和型や無選択型の終身保険があり、持病があっても加入できる場合があります。保険料は通常より割高で、契約後一定期間内に病気で亡くなると、保険金が削減されたり、払込保険料相当額になったりする商品があります。
申し込んだあとにやめることはできますか?
クーリング・オフ制度で申し込みを撤回できます。一般的には、書面を受け取った日か申込日の遅いほうを含めて8日以内です。会社により期間は異なり、医師の診査を受けた場合などは対象外です。
保険料を払うのが苦しくなったらどうなりますか?
払い込みを続けないと、契約は失効することがあります。失効の前に、保険金の減額、払済保険、延長保険、契約者貸付などの方法が使えるか、契約している保険会社に相談してください。
まとめ
終身保険は、一生涯の死亡保障が続き、解約返戻金がたまっていく保険です。 その一方で、保険料は定期保険より高くなりやすく、払込期間中に解約すると元本割れすることがほとんどです。 選ぶときは、次の3点を先に決めてください。- 何のために、いくら残したいのか(葬儀費用、相続、家族の生活費など)
- 保険料を、定年後も含めて払い続けられるか
- 解約返戻金が払込総額を上回るのは何年目か


