ナイトワークとは?夜の仕事の種類と働く前に知りたい法律・お金の注意点

ナイトワークとは?夜の仕事の種類と働く前に知りたい法律・お金の注意点
ナイトワークという言葉は、夜に営業する接客の仕事を指す意味で使われることが多く、求人サイトや検索では「夜職」と呼ばれることもあります。 一方で、工場や病院、コンビニの夜勤を思い浮かべて検索する人もいて、言葉の範囲がはっきりしません。 この記事では、まずナイトワークが指す仕事の範囲を整理します。 そのうえで、働く前に知っておきたい労働基準法と風営法のルール、収入にかかる税金、トラブルになりやすい条件、困ったときの相談先をまとめました。 特定の店舗や業者はすすめません。条文や公的機関の案内で確認できたことだけを書いています。
目次

ナイトワークとは?夜に働く仕事の範囲

ナイトワーク業界の現状と健全化の必要性 ナイトワークに法律上の定義はありません。 一般には、夜間に酒類や会話を提供するお店で働く仕事を指します。 具体的には、キャバクラ、クラブ、スナック、ラウンジ、バー、ガールズバー、ホストクラブなどです。
仕事の例主な内容風営法上の扱い
キャバクラ・クラブ・ラウンジ・ホストクラブなど客の席につき、会話やお酌で接待する「接待」をして飲食させる営業は風俗営業にあたり、店は公安委員会の許可が必要
バー・ガールズバーなどカウンター越しに酒類を提供する接待をせず深夜に酒類を出す店は、営業所ごとに公安委員会への届出が必要
性風俗関連の店舗・サービス風営法が別枠で定める営業「性風俗関連特殊営業」として規制され、風俗営業とは別の区分
工場・病院・介護施設・コンビニなどの夜勤夜間のシフト勤務風営法の対象外。労働基準法の深夜労働のルールは共通で適用される
風営法は、接待を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定めています(第2条第3項)。 お店の名前がバーでも、実際に客の隣に座って接待していれば、風俗営業の許可が必要な営業と判断される場合があります。 つまり、肩書きや店の呼び名ではなく、実際に何をする仕事なのかで法律上の区分が決まります。 応募する前に、仕事の内容と、お店がどの区分で営業しているのかを確認しておくと安心です。

働く前に知っておきたい労働基準法のルール

ナイトワークでも、お店に雇われて働くなら労働基準法が適用されます。 夜間の仕事で特に関わるのは、次の4点です。
  • 深夜の割増賃金:午後10時から午前5時の労働には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金が必要(第37条)
  • 労働条件の明示:賃金や労働時間などを、契約するときに示さなければならない(第15条)
  • 違約金の禁止:遅刻や欠勤に備えて、違約金や損害賠償額をあらかじめ決める契約はできない(第16条)
  • 賃金の全額払い:賃金は通貨で、直接本人に、全額を払うのが原則(第24条)

深夜の割増賃金は時給にこう上乗せされる

時給1,500円で働く場合、午後10時以降の時給は、割増分を含めて1,875円以上になります。 計算式は「1,500円×1.25」です。 たとえば午後10時から午前2時まで4時間働くと、この時間の賃金は1,875円×4時間で7,500円以上になる計算です。 この計算は、時給制の雇用契約を前提にしています。 歩合制や月給制では基礎となる賃金の出し方が変わるため、給与明細で深夜割増の欄があるかを確認してください。

労働時間・休憩・解雇予告・最低賃金も対象になる

雇用される場合は、深夜割増以外の基本的なルールも適用されます。 労働時間は、休憩を除いて1日8時間、1週間40時間が上限の原則です(第32条)。 休憩は、労働時間が6時間を超えるなら45分以上、8時間を超えるなら1時間以上を、勤務の途中に与える決まりです(第34条)。 お店の都合で突然辞めてほしいと言われた場合も、会社は原則として30日以上前に解雇を予告するか、30日分以上の平均賃金を払う必要があります(第20条)。 最低賃金法の第4条は、最低賃金の適用を受ける労働者に、最低賃金額以上の賃金を払うことを求めています。 これに満たない金額を契約で定めても、その部分は無効です。 最低賃金は都道府県ごとに決まっているため、働く地域の金額は厚生労働省や各労働局の案内で確かめてください。
  • 1日の勤務が長くなる日は、休憩を取れる時間があるか
  • 出勤前の準備や、閉店後の片づけの時間が、勤務時間に含まれるか
  • 歩合や指名料を含めても、時給に直したときに最低賃金を下回らないか

前借金や罰金を引かれるときの考え方

労働基準法第17条は、前借金などの貸付金と賃金を相殺することも禁止しています。 寮費や送迎費、衣装代を給与から引く場合も、何をいくら引くのかを事前に書面で確認しておきましょう。 賃金からの控除は、法令に定めがある場合や、労働者の過半数を代表する人などとの書面による協定がある場合に限られます(第24条)。
契約前に確認したい5項目
時給や歩合の計算方法、深夜割増の有無、罰金やノルマの有無、控除される項目と金額、雇用か業務委託かの区別です。 口頭の説明だけで済ませず、書面やメッセージで残してもらうと、後から食い違いが起きにくくなります。
スグレタブログ編集部スグレタブログ編集部
雇用なのか業務委託なのかで、守られるルールが変わります。契約書に「業務委託」と書かれていても、働き方の実態によっては労働者と判断される場合があります。判断がつかないときは、労働局の総合労働相談コーナーで確認できます。

風営法で決まっている働く人側のルール

風営法は、お店だけでなく、そこで働く人を守る規定も置いています。

18歳未満は働けない

風営法は、風俗営業の店で18歳未満の人に客の接待をさせることを禁じています。 午後10時から翌日の午前6時までの間、18歳未満の人を客に接する業務に就かせることも禁止されています(第22条)。 労働基準法でも、18歳に満たない人を午後10時から午前5時の間に使用することは原則できません(第61条)。 年齢を偽って働いたり、働かせたりすることは、本人にも店にも大きなリスクがあります。

面接で年齢確認をされる理由

接待飲食等営業の店などは、客に接する業務に就かせようとする人の生年月日や国籍を、書類で確認する義務があります(第36条の2)。 外国籍の人については、在留資格と在留期間の確認も必要です。 面接で身分証の提示を求められるのは、この法律上の義務があるためです。 一方で、運転免許証などを店が預かったまま返さない行為は、風営法第18条の2が禁じる行為と関わります。 見せて確認を受けることと、預けることは別です。原本は自分で持ち歩いてください。

客への色恋や強引な会計を店が求める行為も規制されている

風営法第18条の3は、キャバクラやホストクラブなど接待をする風俗営業の店が、客に対してしてはならない行為を定めています。 主な内容は次の3つです。
  • 料金について、事実と違う説明をしたり、客に誤解させたりする
  • 客が従業員に恋愛感情などの好意を持ち、従業員も同じ気持ちだと誤信していることを知りながら、「飲まないと関係が壊れる」などと告げて困惑させ、飲食をさせる
  • 客が注文する前に飲食を出し、困惑させて代金を払わせる
2つ目には、従業員が「降格や配置転換などの不利益を避けるには、客が飲食をすることが必要だ」と客に告げる行為も含まれます。 つまり、店からそうした言い方を指示されても、従う義務はありません。 売上のために客を困らせる営業を求められたときは、その指示を記録し、労働局や警察に相談できます。

高額な債務を負わされる契約は禁止されている

風営法第18条の2は、接待飲食等営業の店に対し、次の2つを禁じています。
  • 辞めるときに残った債務をすぐ完済することを条件に、支払い能力に照らして不相当に高額な債務を負わせること
  • そのような高額の債務を負わせた人の免許証などを、店が保管すること
入店時の前借りや、衣装代・備品代の立て替えが膨らんで辞められなくなるケースを防ぐための規定です。

ナイトワークの収入と税金

収入の形は、お店に雇われる場合と、業務委託で働く場合で変わります。
項目雇用(時給・月給など)業務委託
労働基準法適用される(深夜割増など)原則として適用されないが、実態で判断される場合がある
税金の手続きお店が源泉徴収や年末調整を行う自分で確定申告をする
経費給与所得として原則引けない必要経費を引ける場合がある
確認する書類労働条件通知書、給与明細業務委託契約書、報酬の明細
国税庁のタックスアンサー No.2792によると、バーやキャバレーなどに勤めるホステスに支払う報酬は、源泉徴収の対象になる報酬・料金に含まれています。 お店から報酬が支払われるときに、所得税が差し引かれている場合があるということです。 引かれた金額の計算方法は契約内容で異なるため、明細を残しておくと申告のときに役立ちます。

確定申告が必要になる目安

国税庁のタックスアンサー No.1900には、確定申告が必要な人の条件が並んでいます。 ナイトワークに関係しやすいのは、昼の会社の給与とは別に、業務委託の報酬などを受け取っている人です。 給与が1か所だけで、全額から源泉徴収されている場合でも、給与以外の所得の合計が20万円を超えると申告の対象になります。 ここでいう所得は、収入から必要経費を引いた金額です。 夜の仕事を2か所以上の給与として掛け持ちしている場合は、年末調整されなかった給与と、ほかの所得の合計が20万円を超えるかどうかが目安になります。 昼の会社に副業が知られたくない場合でも、税金の手続きは別の話です。申告や住民税の扱いについては、税務署や自治体の窓口に事前に確認してください。 申告が必要かどうかは、収入の形や他の所得で変わります。 自己判断で「バレないから大丈夫」と決めず、税務署の相談窓口で確認するのが確実です。

夜間に働くときの健康面の注意

深夜に働く生活は、睡眠のリズムや食事の時間が乱れやすくなります。 労働安全衛生規則の第45条では、深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、事業者が配置替えのときと、6か月以内ごとに1回の定期健康診断を行うよう定めています。 お店に雇用されて、継続して深夜に働く場合は、この健診の対象になる可能性があります。 健診を案内されたら、受けておくと体調の変化に早く気づけます。
  • 勤務の前後に、睡眠の時間をできるだけ固定する
  • お酒を飲む仕事では、飲む量と翌日の予定を前もって決めておく
  • 体調を崩したときは、無理に出勤せず、シフトの調整を早めに相談する

夜勤の仕事を探している人へ

ナイトワークではなく、工場、物流倉庫、医療、介護、コンビニ、警備などの夜勤を探している場合も、前の章で紹介した労働基準法のルールが同じように使えます。 午後10時から午前5時の労働には2割5分以上の割増賃金が付き(第37条)、18歳未満の人を深夜に働かせることは原則できません(第61条)。 雇用されて深夜業を含む業務に常時就く人は、6か月以内ごとの健康診断の対象になります(労働安全衛生規則第45条)。 求人では、深夜割増が時給に含まれている表記なのか、別に加算される表記なのかを確認してください。 「時給1,500円(深夜手当込み)」と書かれている場合は、深夜の時給が割増後の金額なのか、日中も同じ金額なのかが変わってきます。 求人票にその区別が書かれていないときは、面接で質問して、労働条件通知書で確認しておくと安心です。

応募から入店までの流れと確認すること

初めて応募する場合の一般的な流れは、次のとおりです。
  1. 求人情報で、仕事内容と時給や歩合の条件を見る
  2. 面接を受け、働く時間や勤務地、雇用か業務委託かを聞く
  3. 年齢と身元の確認を受ける(身分証の提示)
  4. 書面やメッセージで、賃金・控除・罰金の有無を確認する
  5. 納得できたら契約し、初出勤する
「体験入店」と呼ばれる短期の試し勤務でも、働いた時間に対する賃金は発生します。 日給や時給の条件を、体験の前に確認しておきましょう。

こんな条件は立ち止まって確認する

気になる条件関係するルール確認すること
遅刻・欠勤の罰金をあらかじめ決めている労働基準法第16条(違約金の禁止)契約書の文言と、実際に引かれた金額
寮費・衣装代などの前借りが多額労働基準法第17条、風営法第18条の2返済方法と、辞めるときの扱い
免許証などを預けるよう求められる風営法第18条の2見せるだけで足りるか。原本は手元に置く
深夜割増が給与明細にない労働基準法第37条雇用なのか業務委託なのか
契約書や条件の書面を出してもらえない労働基準法第15条(労働条件の明示)メッセージなどの記録を残す
スグレタブログ編集部スグレタブログ編集部
条件を聞いただけで「断りにくい雰囲気」になる場合は、その場で決めずに持ち帰ってください。契約をその場で迫られても、正式な書面を確認する前に署名する必要はありません。

トラブルのときの相談先

賃金の未払い、不当な罰金、突然の解雇などは、全国の労働局にある総合労働相談コーナーが受け付けています。 厚生労働省の案内によると、予約は不要で、相談は無料です。面談か電話で対応しており、土日祝日と年末年始は閉庁しています。 契約内容や請求金額の相談など、法的な判断が必要なときは、法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)が使えます。 契約や支払いのトラブルは、消費者ホットライン188に電話すると、地元の消費生活相談窓口を案内してもらえます。 身の危険や暴力、脅しを受けた場合は、相談より先に警察へ連絡してください。
相談する前に集めておくもの
契約書や求人票、給与明細、やり取りのメッセージ、出勤した日と時間のメモ、引かれた金額が分かる記録などです。 写真やスクリーンショットでも構いません。相談員が状況を確認しやすくなります。

お店を開く側が確認する手続き

ナイトワークの店を開く、または雇う立場の人にとって、働く人を守るルールを守ることは営業を続ける前提になります。 主な手続きは次のとおりです。
  • 営業の許可・届出:接待をする店は公安委員会の許可、接待をせず深夜に酒類を出す店は営業所ごとの届出(風営法第33条)
  • 従業者名簿の備え付け:客に接する業務に従事する人の住所や氏名などを記載(第36条)
  • 年齢・国籍の確認:客に接する業務に就かせる前に、書類で確認(第36条の2)
  • 労務の管理:労働条件の明示、深夜割増の支払い、定期健診
許可や届出の書類を代わりに作る仕事は、行政書士の業務にあたります。 コンサルタントや業者に依頼するときは、書類作成を誰が担当するのか、有資格者が関わっているのかを、契約の前に確かめてください。
スグレタブログ編集部スグレタブログ編集部
「必ず許可が取れる」「確実に売上が上がる」といった説明をする業者は避けてください。許可は公安委員会が審査して判断するもので、第三者が結果を約束できるものではありません。
勤怠や給与の管理を整えることも、トラブルを防ぐ手段になります。 従業員を雇う側の勤怠管理を整える参考として、次の記事も合わせてご覧ください。
あわせて読みたい
労務管理システムとは?できることと法令対応、勤怠・給与システムとの違いと選び方 労務管理システムは、入社・退社の手続き、社会保険や雇用保険の届出、年末調整、雇用契約、従業員の情報管理などを、紙ではなくシステムでまとめて行うツールです。 従...

夜間に電話対応をするコールセンターも、深夜労働の一例です。働く人の定着を考えるときの参考として、次の記事も確認してみてください。

あわせて読みたい
コールセンターシステムとは?仕組みと機能、オペレーターの負担と離職を減らす使い方 コールセンターシステムは、お客様からの電話を受けたり、こちらから電話をかけたりする業務を、パソコンと電話をつないで効率よく回すためのシステムです。 着信と同時...

ナイトワークのよくある質問

ナイトワークと夜勤は同じ意味ですか?

同じではありません。ナイトワークは主にバー、キャバクラ、クラブ、ラウンジ、ホストクラブなど夜間に営業する接客業を指して使われます。工場、病院、介護施設、コンビニなどの夜勤は、一般には夜勤と呼ばれ、ナイトワークとは区別されることが多い言葉です。ただし、午後10時から午前5時の深夜労働に関する労働基準法のルールは、どちらにも共通して関わります。

ナイトワークで深夜の割増賃金はもらえますか?

雇用されて働く場合、午後10時から午前5時の労働には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を払う決まりがあります(労働基準法第37条)。ただし、業務委託として働く契約の場合は、雇用とは扱いが異なります。給与明細や契約書で、雇用なのか業務委託なのかを最初に確認してください。

罰金やノルマを引かれることはありますか?

労働基準法では、会社が違約金や損害賠償の額をあらかじめ決めておく契約を禁じています(第16条)。遅刻や欠勤に対する罰金を、契約として決めておく形はこの規定に触れる可能性があります。引かれた経緯が分からない場合は、総合労働相談コーナーに相談してください。

ナイトワークの収入は確定申告が必要ですか?

昼の会社の給与だけが1か所で全額源泉徴収されていても、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告の対象です(国税庁タックスアンサー No.1900)。業務委託で働く場合は、報酬から経費を引いた所得を自分で申告します。迷うときは税務署の相談窓口に確認してください。

面接で身分証を求められるのは普通ですか?

風営法では、接待飲食等営業の店が、客に接する業務に就かせる人の生年月日や国籍を書類で確認するよう定めています(第36条の2)。このため、面接時に身分証の提示を求められること自体は不自然ではありません。ただし、運転免許証などを店が預かって返さない行為は禁止されています(第18条の2)。提示して確認を受けるだけにとどめ、原本は手元に置いてください。

働いている店でトラブルが起きたときはどこに相談すればよいですか?

賃金や解雇など労働条件の問題は、全国の労働局にある総合労働相談コーナー(無料・予約不要)が窓口です。契約の内容や請求金額で法律の判断が必要なときは、法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)が利用できます。身の危険を感じる場合は、ためらわず警察に連絡してください。

まとめ

ナイトワークは、夜間に営業する接客の仕事を指す言葉で、法律上の定義はありません。 実際の仕事の内容によって、風営法での区分と、守られるルールが変わります。 働く前は、雇用か業務委託か、深夜割増の有無、罰金や前借金の条件、身分証の扱いを書面で確認してください。 収入面では、副収入の所得が20万円を超えるかどうかを軸に、確定申告の要否を税務署で確かめておきましょう。 困ったときは、総合労働相談コーナー、法テラス、消費者ホットライン188が窓口になります。
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

近年に役立つ情報からトレンドニーズまで、幅広いジャンルを厳選してピックアップした記事をご紹介しております!お客様が知りたいコンテンツがイッパイあります!

目次