海外FXとは?国内FXとの違い
海外FXは、一般に海外に拠点を置く業者に口座を開いて行うFX取引を指します。 「海外」という言葉に法律上の決まった定義はなく、金融庁の登録を受けているかどうかで、日本の法律による保護の有無が変わります。 国税庁のタックスアンサーでは、FXを「証拠金を担保にして、その何十倍もの取引単位で行う取引」と説明しています。 そのうえで、第一種金融商品取引業者や登録金融機関を相手にする取引と、そうでない取引で税金の扱いを分けています。| 項目 | 金融庁に登録がある業者(国内FX) | 登録のない海外業者 |
|---|---|---|
| 日本での営業 | 金融商品取引法に基づく登録を受けている | 日本の居住者を相手にする場合、登録がなければ違法 |
| レバレッジ | 証拠金の25倍までに規制されている | 国内規制を大きく上回る倍率を宣伝する例がある |
| トラブル時 | 金融庁や協会などの窓口が対応する | 業者への追及は極めて困難とされている |
| 利益の税金 | 申告分離課税(所得税15%・地方税5%) | 一般的に雑所得として総合課税 |
| 損失の繰越 | 翌年以後3年間の繰越控除ができる | 繰越控除はない |
消費者庁は、海外でライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本の居住者へ金融商品取引を業として行うことは禁止されていると案内しています。
反対に、日本の登録を受けた業者であれば、本社が海外にあっても金融商品取引法の枠内で営業しています。
「海外FX」と呼ばれる業者が登録済みかどうかは、名前や宣伝では判断できないため、金融庁の登録一覧で確認する必要があります。
スグレタブログ編集部海外FXは違法?金融庁が注意を呼びかける理由
金融庁は「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」というページで、日本語のホームページを開いてFXを勧誘する無登録の海外業者がいると注意しています。 同ページでは、日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法で、違反者は罰則の対象になると説明されています。 取り締まりの対象は、日本の居住者に営業する業者側です。 一方で、利用者側にも、取引の相手が違法に営業している業者であるという大きなリスクがあります。高レバレッジの宣伝に注意する
日本国内には、預けた証拠金の25倍を超える額のFX取引を禁止するレバレッジ規制があります。 金融庁は、無登録の海外業者の中に、この規制を大きく上回る高レバレッジを宣伝文句にして勧誘する例があると指摘しています。 レバレッジが高いほど、少しの値動きで証拠金を失いやすくなります。 「少ない資金で大きく稼げる」という見せ方は、損失の面を伏せて利用者を引きつけるものでもあります。トラブルになっても追及しにくい
消費者庁と金融庁は、海外所在の無登録業者について、業務の実態の把握が難しく、トラブルが起きても業者への追及は極めて困難だと説明しています。 日本の金融商品取引法の登録業者であれば、金融庁の相談窓口や、金融先物取引業協会の苦情・あっせんの仕組みがあります。 無登録の業者にはその仕組みがなく、運営会社の所在地や連絡先がわからなくなると、相手を特定すること自体が難しくなります。ゼロカットやボーナスの宣伝をどう見るか
海外FXの広告では、「ゼロカット」「入金ボーナス」「キャッシュバック」などの特典がよく強調されます。 これらは各業者が独自に決めている条件で、国税庁や金融庁などの公的機関が内容を保証するものではありません。 条件が守られなかったときも、先に述べたとおり、無登録の業者には追及が難しい点に注意が必要です。 特典の大きさより、登録の有無と出金の条件を先に確認するほうが安全です。出金できないトラブルの典型パターン
消費者庁は、無登録業者とのFXトラブルとして、利益が出たのに出金できない、出金を申請したのに返金がない、連絡がとれなくなったといった例が多発していると案内しています。 国民生活センターも、2024年1月に「SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル」を公表しました。 近年は、特にシニア層で相談が増える傾向にあるとされています。SNSの投資グループから始まる流れ
国民生活センターが紹介している流れは、次のとおりです。- SNSの広告や、SNSで知り合った人の紹介でグループチャットに誘われる
- グループ内で参加者の成功体験を聞かされ、FX取引に誘われる
- お金を振り込むと、最初は利益が出たように見え、さらに送金を求められる
- 出金できなくなり、業者とも、グループのメンバーとも連絡が取れなくなる
怪しいと判断できるサイン
- 振込先に個人名義の口座を指定される
- 出金のために、税金や手数料、追加の証拠金を求められる
- SNSやメッセージで勧誘され、「必ずもうかる」と言われる
- 日本の登録番号を示せない、または金融庁の一覧に名前がない
スグレタブログ編集部取引を始める前に確認すること
海外FXに限らず、FXを始める前の確認は同じです。 次の手順で業者を確認すれば、無登録業者との取引は避けられます。- 業者名、運営会社名、所在地、電話番号を公式サイトで確認する
- 金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」や、事業者検索で、登録があるかを調べる
- 金融庁の「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」で、警告書の対象になっていないかを調べる
- 金融先物取引業協会の会員一覧にも載っているかを確かめる
- 出金の条件、手数料、必要な書類を、取引前に書面やサイト上で読む
- 登録を受けた事業者の一覧に、名称が載っているか
- サイトに書かれた運営会社名と、登録名が一致するか
- 登録番号を、自分で一覧に入れて照合したか(サイトの表示だけで判断しない)
- SNSや知人の紹介ではなく、自分で調べた公式サイトから申し込んでいるか
海外FXの税金は総合課税
国税庁のタックスアンサー(No.1521)では、FXの課税関係を、取引の相手方によって分けています。 登録を受けた第一種金融商品取引業者などを相手にする店頭FXや取引所FXは、所得税15%と地方税5%の申告分離課税です。 一方、それらに当たらない取引の差益は、一般的には雑所得として総合課税の対象になり、給与などと合算した課税総所得金額に応じた税率で課税されます。総合課税の税率と国内FXとの差
所得税の税率は、課税される所得金額に応じて5%から45%までの7段階です。 国税庁の速算表では、たとえば課税所得が330万円から694万9千円までは20%、900万円から1,799万9千円までは33%と定められています。 住民税(所得割)を一律10%として所得税と足すと、最高で約55%になります。 申告のときは、所得税額の2.1%を復興特別所得税として併せて納めます。 なお、令和9年以後は復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、防衛特別所得税が創設されます。国税庁は、改正前後で合計の税率は変わらないとしています。計算例:利益100万円に税金はいくらかかるか
次の2つのケースで、海外FXの利益100万円(必要経費なし)にかかる税金を比べます。 住民税は10%として計算し、給与などの課税所得は、それぞれ400万円と900万円と仮定しました。| 項目 | 課税所得400万円の人 | 課税所得900万円の人 |
|---|---|---|
| FX利益を足した課税所得 | 500万円 | 1,000万円 |
| 所得税の増加額 | 20万円 | 33万円 |
| 復興特別所得税(2.1%) | 4,200円 | 6,930円 |
| 住民税(10%) | 10万円 | 10万円 |
| 合計の増加額 | 304,200円 | 436,930円 |
| 登録業者の国内FXの場合(20.315%) | 203,150円 | |
- 所得税の速算表は、国税庁タックスアンサー(No.2260)の値を使用
- 住民税は所得割10%で計算(均等割などは含まない)
- 必要経費はゼロ、ほかの雑所得や所得控除の変更は考えない
損失の扱いは国内FXと大きく違う
先に、損失が出たときにどこまで相殺できるのかを、国税庁の説明をもとに表にします。 国税庁は、総合課税の雑所得に当たるFXの差損について、雑所得の範囲内での損益の通算は可能だとしています。 そのうえで、給与所得など他の所得との損益通算はできず、申告分離課税の「先物取引に係る雑所得等」との通算もできないと説明しています。 登録業者の国内FXでは、通算しきれない損失を翌年以後3年間繰り越せる制度があります(No.1523)。 総合課税の雑所得にはこの繰越しの制度がなく、損失が出た年に、ほかの雑所得と相殺できなければその年だけで終わります。 たとえば、ある年に海外FXで100万円の利益、翌年に100万円の損失が出ても、翌年の損失を前の年の利益から引くことはできません。| 損失の使い道 | 登録業者の国内FX(申告分離課税) | 登録業者以外のFX(総合課税の雑所得) |
|---|---|---|
| 同じ区分の利益との相殺 | できる(先物取引に係る雑所得等の範囲) | できる(雑所得の範囲) |
| 給与所得など他の所得との相殺 | できない | できない |
| 相殺しきれない損失の翌年以降への繰越し | 翌年以後3年間できる(申告が条件) | できない |
| もう一方のFXとの相殺 | できない | できない |
スグレタブログ編集部確定申告が必要になるケースと手順
会社員など給与所得者の場合、国税庁のタックスアンサー(No.1900)は、給与の支払先が1か所で全額が源泉徴収されているなら、副収入などの合計が年20万円を超えたときに確定申告が必要としています。 海外FXの利益は、この「給与・退職所得以外の所得」に含まれます。 判断のイメージを、年間のFX利益だけが副収入の人で整理します。| 年間のFX所得(経費を引いた後) | 会社員(給与1か所・全額源泉徴収) | 個人事業主・年金受給者など |
|---|---|---|
| 18万円 | 所得税の申告は原則不要 | ほかの所得と合算して申告 |
| 25万円 | 申告が必要 | ほかの所得と合算して申告 |
| 損失(マイナス) | 申告不要。ただし損失は他の所得と相殺できない | ほかの所得との相殺はできない |
申告までの流れ
- 業者の取引履歴や年間の損益がわかる書類を、ダウンロードして保管する
- 1年間の利益と損失、スワップポイントなどを集計する
- パソコンやインターネット回線など、取引に使った費用のうち、取引に関係するものを整理する
- 国税庁のウェブサイトの申告書作成画面で、FXの所得を雑所得として入力する
- e-Taxまたは郵送などで提出し、納税する
必要経費にできるもの、できないもの
国税庁は、雑所得の金額を「総収入金額から必要経費を差し引いて計算する」としています。 必要経費にできるのは、その所得を得るために必要な費用で、取引と関係する部分に限られます。- 取引の記録や計算に使うソフトや回線の料金のうち、取引に使った割合
- 取引のための書籍や情報サービスの利用料など、取引に直接関係するもの
- 取引と関係のない生活費
- 自分の損失そのもの(経費ではなく、損益の計算に含まれるもの)
申告しなかった場合のリスク
「海外の取引だからわからない」と考えて申告しないと、あとから追徴されるおそれがあります。 国税庁は、国外への送金や、国外から受領した送金のうち、金額が100万円を超えるものについて、送金を行った金融機関が「国外送金等調書」を税務署に提出する制度があると説明しています。 海外FXの入金や出金で100万円を超える送金をすると、金融機関から税務署に、送金者の氏名や住所、金額などが伝わる可能性があります。 申告が遅れた場合は、国税庁の案内によると、納める税金のほかに無申告加算税がかかります。 税務署の調査の事前通知の前に、自主的に期限後申告をした場合は、納付すべき税金の5%です。 調査の事前通知のあとに期限後申告をした場合は、納付税額のうち50万円までの部分は10%、50万円超300万円までは15%、300万円を超える部分は25%です。 調査を受けたあとに期限後申告をした場合や、決定を受けた場合は、50万円までが15%、50万円超300万円までが20%、300万円を超える部分が30%になります。 申告を忘れていたと気づいたら、できるだけ早く、自分から期限後申告をしてください。すでに海外FXを使っている人が確認すること
すでに口座を持っている場合は、次の順に確認します。- 使っている業者の運営会社名を調べ、金融庁の登録事業者一覧と警告書の一覧で確認する
- 登録がない場合は、追加の入金を止める
- 出金が可能な状態であれば、出金の条件を確認し、自分の判断で手続きをする(出金のための前払いは要求されたら払わない)
- これまでの取引履歴と、入出金の記録を、画面保存やダウンロードで残しておく
- 過去の年に申告していない利益がある場合は、税務署や税理士に、期限後申告の進め方を相談する
- 取引履歴(約定日、通貨ペア、損益)と、年間の損益がわかる書類
- 入金・出金の日付と金額がわかる、銀行の明細や送金の記録
- 業者とのやり取り(メール、チャット)の画面保存
- 経費にした費用の領収書や請求書
トラブルにあったとき、税金で迷ったときの相談先
| 困りごと | 相談先 |
|---|---|
| 出金できない、業者と連絡がとれない、勧誘された | 最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン188)、金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-050588) |
| 登録の有無を事前に確認したい | 金融庁の登録事業者一覧、金融サービス利用者相談室の事前相談(0570-016812) |
| 無登録業者に関する情報を提供したい | 証券取引等監視委員会 情報提供窓口(0570-00-3581) |
| 申告や税額の計算で迷う | 最寄りの税務署、国税庁の「税についての相談窓口」、税理士 |

同じ雑所得でも、仮想通貨は計算方法や確定申告の実務に独自のポイントがあります。
海外取引で為替や相手先のリスクをどう抑えるかは、企業間の取引で使われる国際ファクタリングやフォーフェイティングの考え方も参考になります。
こちらは企業向けの金融サービスの解説で、個人のFX取引とは別の分野です。
海外FXについてよくある質問
海外FXは違法ですか?
金融庁は、日本の居住者を相手にFXを業として行うには、海外の業者であっても金融商品取引法の登録が必要で、登録を受けずに営業することは違法だと案内しています。違反者は罰則の対象になります。取り締まりの主な対象は営業する業者側ですが、利用者にとっては、トラブルになっても追及が極めて困難という大きなリスクがあります。
海外FXの利益は確定申告が必要ですか?
国税庁によると、登録業者以外を相手にするFXの差益は、一般的に雑所得として総合課税の対象です。会社員は、副収入などの合計が年20万円を超えたときに申告が必要です。個人事業主など、もともと申告が必要な人は金額にかかわらず合算して申告します。
海外FXの税率は国内FXと何が違いますか?
登録業者を相手にする国内FXは、所得税15%と地方税5%の申告分離課税です。登録業者以外を相手にする海外FXは、一般的に総合課税で、課税所得に応じて所得税が5%から45%まで上がり、住民税10%が加わります。損失の3年繰越も国内FXだけの制度です。
海外FXで出た損失は翌年に繰り越せますか?
国税庁によると、総合課税の雑所得に当たるFXの損失は、雑所得の範囲内でしか通算できず、他の所得や申告分離課税の先物取引等とも通算できません。翌年以後3年間の繰越控除は、登録業者を相手にした申告分離課税のFXなどが対象です。
申告しないと海外FXの利益は税務署にわかりませんか?
国税庁は、100万円を超える国外への送金や国外からの送金について、金融機関が国外送金等調書を税務署に提出する制度があると説明しています。申告が遅れると無申告加算税がかかるため、気づいた時点でできるだけ早く期限後申告をしてください。
出金を求めたら税金や手数料を請求されました。払うべきですか?
国民生活センターが紹介する相談事例では、出金時に税金160万円や、口座残高の半分の証拠金を請求されたあと、出金されなかった例があります。払う前に、消費者ホットライン188に電話して、最寄りの消費生活センターに相談してください。


