ゴルフ会員権とは
ゴルフ会員権とは、ゴルフ場の会員になるための権利、またはその地位のことです。 会員になると、ビジターより安いメンバー料金でプレーできたり、予約で優遇されたり、会員向けの競技会に出られたりします。 どんな特典があるかはゴルフ場ごとに違い、会員権を買えば全国のゴルフ場が安くなるわけではありません。 会員権が使えるのは、その会員権を発行しているゴルフ場(と、提携しているゴルフ場)だけです。会員になると受けられる主な特典
特典の中心は、メンバー料金でのプレーです。 そのほかにも、次のような内容が用意されていることがあります。- メンバー料金:ビジターより安い料金でプレーできる。差額はゴルフ場ごとに違う
- 予約の優遇:会員向けの予約枠や、先行予約が使える場合がある
- 会員競技への参加:月例競技やクラブ選手権に出られる
- 同伴者の割引:友人や取引先を連れて行くときの料金が下がる場合がある
- 施設の利用:ロッカーや練習場を会員として使える
ゴルフ場に預けるお金がある会員権もある
会員権には、入会時にゴルフ場へお金を預ける「預託金」という仕組みがあるものがあります。 「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律」では、預託金を「会員が会員契約に基づき会員制事業者に支払う金銭のうち、会員制事業者が会員に対して将来返還することを約したもの」と定めています。 つまり、ゴルフ場が返すと約束したお金です。 ただし、約束した返還時期になっても、ゴルフ場の経営が苦しければ返してもらえないことがあります。 この点が、ゴルフ会員権のいちばん大きなリスクです。
スグレタブログ編集部ゴルフ会員権の種類
ゴルフ会員権の種類は、「会員の資格」と「権利の形」の2つの見方で整理すると分かりやすくなります。会員の資格による違い(正会員・平日会員など)
会員の資格は、ゴルフ場ごとに名前も内容も違います。 よく見かけるのは、次のような区分です。| 区分 | 使える日 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 正会員 | 平日も土日祝日もプレーできる | 土日祝日の予約枠や、会員の人数 |
| 平日会員 | 平日だけ(土日祝日は利用不可、またはビジター扱い) | 土日祝日に使えるか、使える場合の料金 |
| 週日会員など | ゴルフ場が決めた曜日だけ | 祝日や繁忙期の扱い |
| 法人会員 | 法人名義で登録し、指定した人が利用する | 名義人の人数や、名義変更の費用 |
権利の形による違い(預託金制・株主制・社団法人制)
権利の形は、一般に次の3つに分けて説明されることが多いです。| 形 | 中身 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 預託金制 | ゴルフ場に預けた預託金をもとにした利用権 | 据置期間が過ぎたとき、約束どおり返還されるか |
| 株主制 | ゴルフ場を運営する会社の株式を持つ形 | 株式を持つだけで、預託金のように返還を求める権利があるとは限らない |
| 社団法人制 | 会員が出資して作ったクラブの社員になる形 | クラブごとに会則が違い、退会時の扱いも異なる |
- 預託金はいくらか。据置期間はいつまでか
- 退会するとき、預託金や出資金は返ってくるのか
- 会員権を売るとき、買い手に名義書換を認めるルールがあるか

会員権を買うかどうかは、ゴルフ場を実際に回ってから決めても遅くありません。
購入と保有にかかる費用
会員権を買うときは、会員権の価格だけを見て決めないようにします。 ほとんどのゴルフ場では、会員権の売買代金のほかに、名義書換料や入会金などをゴルフ場に払う必要があります。購入時にかかる費用
購入時の費用は、次のような項目に分けて確認します。| 費用 | 払う先 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 会員権の売買代金 | 売り主(業者経由が多い) | 複数の業者の相場表と取引事例を比べる |
| 名義書換料 | ゴルフ場 | 金額はゴルフ場が決める。ゴルフ場に直接確認する |
| 入会金・預託金の追加 | ゴルフ場 | 追加の有無と金額をゴルフ場に確認する |
| 仲介手数料 | 仲介業者 | 料率と、売り主・買い主のどちらが払うかを契約前に確認する |
| 年会費(初年度分) | ゴルフ場 | 入会時に日割りか、1年分かを確認する |
保有中にかかる費用
買った後も、毎年の年会費がかかります。 年会費はプレーしなくても請求されるのが一般的で、滞納が続くと会員資格を失うことがあります。 そのほか、プレーのたびに次の費用が必要です。- プレー料金:メンバー料金でも、食事代やキャディ代、カート代が別にかかる場合がある
- ゴルフ場利用税:会員でもビジターでもかかる(次の見出しで説明)
- ロッカー代や競技の参加費:ゴルフ場ごとに別料金のことがある
ゴルフ場利用税は会員でもかかる
ゴルフ場利用税は地方税で、地方税法第75条により、ゴルフ場を利用した日ごとに、利用者へ定額で課される税です。 会員か、ビジターかは関係なく、利用者にかかります。 税率は同法第76条で、標準税率が1人1日800円と定められており、都道府県が標準税率を超える税率にする場合も1,200円が上限です。 実際の税額は、都道府県やゴルフ場の整備状況によって違います。 なお、地方税法第75条の2により、18歳未満の人、70歳以上の人、障害者の人は、年齢や障害を証明できればゴルフ場利用税が課されません。 会員権の損得を考えるとき、この税は会員でもビジターでもかかるため、メンバー料金とビジター料金の差には含めません。会員権を買うと得なのか
会員権が得かどうかは、「年に何回プレーするか」と「メンバー料金とビジター料金の差」で決まります。元が取れるかの計算のしかた
考え方は単純で、1年あたりの得を、購入時の総額と比べます。- メンバー料金とビジター料金の差額に、年間のプレー回数をかける
- そこから、年会費を引く
- 購入時の総額(売買代金と名義書換料などの合計)を、その金額で割る
| 項目 | 仮の数字 |
|---|---|
| ビジター料金とメンバー料金の差額(1回) | 5,000円 |
| 年間のプレー回数 | 30回 |
| 年会費 | 60,000円 |
| 購入時の総額(売買代金+名義書換料など) | 100万円 |
| 1年あたりの得(5,000円×30回−60,000円) | 90,000円 |
| 元が取れるまでの年数(100万円÷90,000円) | 約11年 |
預託金が返ってくる場合の考え方
預託金制の会員権で、据置期間が終わったあとに預託金を返してもらえるなら、その分は「負担」ではなく「預けているお金」です。 その場合は、購入時の総額から返還される予定の預託金を引いて計算できます。 ただし、返還されるかどうかはゴルフ場の経営状況しだいなので、返還を前提にした計算は慎重に行ってください。 返還されない前提で計算しても得になるかを見ておくと、判断を誤りにくくなります。会員権が向いている人、向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 同じゴルフ場に年に何十回も通える | 年に数回しかプレーしない |
| 会員競技やクラブの仲間づきあいを楽しみたい | いろいろなゴルフ場を回りたい |
| 仕事の接待で、同じゴルフ場を繰り返し使う | 初期費用をまとめて出すと家計に負担が出る |
| 預託金が返ってくるか確認し、リスクを理解している | 購入後に値上がりして儲かることを期待している |
スグレタブログ編集部購入の流れと契約前の確認
購入から入会までの手順
中古の会員権を買う場合、一般的には次の順番で進みます。- 通いたいゴルフ場を決め、会則と入会条件をゴルフ場の公式サイトなどで確認する
- 複数の仲介業者に、売り物の会員権と価格、手数料を問い合わせる
- ゴルフ場に、名義書換料・年会費・預託金の扱いを直接確認する
- 売買契約を結び、代金を支払う(支払い方法と時期を契約書で確認する)
- ゴルフ場へ入会の申込みをする(紹介者や面接が必要な場合がある)
- ゴルフ場の審査に通ったら、名義書換料などを払い、会員証が発行される
契約前に書面で確認すること
ゴルフ場に新しく入会する会員契約には、「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律」があります。 同法第5条は、会員制事業者や、契約の代理・媒介をする人に対して、契約が成立するまでの間に契約の概要などを記した書面を交付することを求めています。 契約を結んだ後にも、預託金の額、据置期間、預託金の返還を担保する措置の有無などを記載した書面を、遅滞なく交付することが必要です。 同法第12条では、会員は、この契約締結後の書面を受け取った日から起算して8日を過ぎるまでは、書面で会員契約を解除できると定められています。 この場合、会員制事業者は損害賠償や違約金を請求できません。中古の会員権を第三者から買う場合に、同じ解除ができるかどうかは、契約の相手や内容によって変わります。
契約前に、ゴルフ場や、お住まいの地域の消費生活センターに確認してください。
仲介業者を選ぶときの確認点
会員権の売買は、仲介業者を通すことが多いです。 業者の信頼性は自分で確かめる必要があるため、次の点を確認してください。- 会社の所在地と連絡先、運営年数がホームページや契約書で確認できる
- 売買代金と、仲介手数料、名義書換料などの費用を、書面で出してくれる
- 「今日中に決めれば安い」と、契約を急がせない
- ゴルフ場の経営状況や、預託金の返還見込みについて、分からないことを分からないと答える
ゴルフ会員権でよくある失敗とトラブル
預託金が返ってこない
最も大きなトラブルは、据置期間が終わっても預託金が返ってこないことです。 ゴルフ場が経営不振になると、返還の延期や、金額の削減を求められることがあります。 民法第166条では、債権は、権利を行使できると知った時から5年、権利を行使できる時から10年で、時効によって消滅すると定めています。 返還を求める時期になったら、請求せずに放置しないようにします。 預託金返還の請求や、時効の判断は法律の専門的な内容を含むため、弁護士などに相談してください。購入後に費用や条件が変わる
購入後に起きやすい変化には、次のようなものがあります。- 年会費が引き上げられた
- 名義書換料が変わり、売りにくくなった
- ゴルフ場の運営会社が変わり、会員の権利の扱いが変わった
- 会員が増えて、予約が取りにくくなった
勧誘や契約のトラブル
会員権をめぐっては、電話での強引な勧誘や、実際より有利に見せる説明によるトラブルも起きています。 ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律には、誇大広告の禁止(第6条)、重要な事項について故意に事実を告げなかったり、不実のことを告げたりする行為の禁止(第7条)、威迫する言動による勧誘の禁止(第8条)が定められています。 次のような勧誘は、すぐに契約せず、第三者に相談してください。- 「今だけ」「今日中に」と契約を急がせる
- 「必ず値上がりする」と、利益を保証するように説明する
- 名義書換料や預託金の扱いについて、書面で説明しない
- 「会員権を高く買い取る」と電話してきて、先に費用や手数料を求める
困ったときの相談先
契約や解約について困ったときは、消費者庁が案内している消費者ホットライン188(局番なし)に相談できます。 ゴルフ場に新しく入会した場合は、会員制事業協会が会員制事業者への指導や苦情の解決を行うこともあります(同法第14条)。 返還請求や、裁判になりそうな場合は、法テラスや弁護士会の法律相談を使う方法もあります。- 会員権の証書・契約書・領収書
- ゴルフ場や業者とのやりとりの記録(メール、書面、通話メモ)
- 支払いの日付と金額が分かる資料
ゴルフ会員権にかかる税金
個人が売ったときの税金
国税庁の「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」では、ゴルフ会員権は譲渡所得の対象となる資産として挙げられています。 課税方法は、給与所得などと合算して税額を計算する「総合課税」です。 国税庁の「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」によると、譲渡所得は次の式で計算します。 譲渡所得の金額=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−50万円(特別控除) 取得費は、一般に購入代金で、購入手数料なども含まれます。 譲渡費用は、売るために直接かかった費用です。 所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得となり、計算した金額の2分の1が課税対象になります。 5年以内の場合は短期譲渡所得で、全額が課税対象です。 特別控除の50万円は、その年の長期と短期の譲渡益の合計に対する金額で、譲渡益が50万円以下なら、その金額までしか控除できません。売って損が出たとき
ここで注意したいのは、損が出た場合の扱いです。 国税庁の「No.2250 損益通算」は、生活に通常必要でない資産の損失は、他の所得と損益通算できないとしています。 その例として、「主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)」が挙げられています。 つまり、個人が趣味や娯楽で持っていた会員権を売って損が出ても、給与所得などと損益通算して税金を減らすことは、原則としてできません。 仕事で使っていた場合などは扱いが変わる可能性があるため、売却前に税務署か税理士に確認してください。給与所得者の副収入の申告の要否は、下の記事で整理しています。

会員権の売却損益は、他の所得との関係を整理したうえで、申告の要否を判断してください。
法人が持つときの税務
会社が接待などの目的で会員権を持つ場合、国税庁の法人税基本通達(9-7-11〜9-7-13)で、扱いが決まっています。| 項目 | 扱い(通達の内容) |
|---|---|
| 法人会員の入会金 | 資産として計上する。ただし、特定の役員・使用人が専ら業務と関係なく使うものと認められるときは、その人への給与になる |
| 個人会員として入会した場合の入会金 | 原則、その役員・使用人への給与。業務上必要で会社が負担すべきと認められるときは、資産計上が認められる |
| 他人の会員権を購入した場合 | 購入代金に、名義変更でゴルフ場に払う費用を加えた額が入会金になる |
| 資産に計上した入会金 | 償却はできない。脱退して返還を受けられない場合や、譲渡による損失は、そのときの事業年度の損金になる |
| 年会費・年決めロッカー料・名義書換料など | 入会金が資産なら交際費。入会金が給与なら、その役員・使用人への給与 |
売却と退会
売却の流れ
中古の会員権を売るときも、仲介業者を通すことが多いです。- 複数の業者に、現在の相場と、売却にかかる手数料を問い合わせる
- ゴルフ場に、名義書換に必要な書類と、年会費などの未納がないかを確認する
- 業者と媒介契約を結ぶ(専任か一般かで、依頼できる業者の数が変わる)
- 買い手が見つかったら、売買契約を結び、代金を受け取る
- ゴルフ場の手続きで名義が変わったら、手続きが完了する
退会して預託金の返還を求める場合
預託金制の会員権で、据置期間が過ぎていれば、退会して預託金の返還を求めることができる場合があります。 返還の条件は、会則や契約書に書かれています。 退会の手続きの期限、書面の様式、返還の時期は、必ず会則で確認してください。 返還請求が受け入れられない、または支払いが遅れる場合は、請求の記録を残しながら、弁護士などに相談します。よくある質問
ゴルフ会員権とは何ですか?
特定のゴルフ場の会員になるための権利で、会員になるとビジターより安いメンバー料金でのプレーや、予約の優遇、会員競技への参加などの特典が受けられます。特典の内容はゴルフ場ごとに違います。
預託金制と株主制は何が違いますか?
預託金制は、ゴルフ場に預けたお金(預託金)をもとにした利用権で、据置期間後に返還を求められる場合があります。株主制は、ゴルフ場を運営する会社の株式を持つ形です。名称ではなく、会則と契約書で何が返還されるかを確認してください。
平日会員でも土日にプレーできますか?
ゴルフ場によって違います。土日祝日はビジター扱いで利用できる場合もあれば、利用できない場合もあります。購入前に、会則で使える曜日と祝日の扱いを確認してください。
ゴルフ会員権を売って損が出たら、他の所得と損益通算できますか?
国税庁のNo.2250では、趣味や娯楽を主な目的として所有するゴルフ会員権等の損失は、他の所得と損益通算できないとされています。事業用などで扱いが変わる可能性があるため、税務署か税理士に確認してください。
ゴルフ会員権は購入後にクーリングオフできますか?
ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律第12条では、会員契約を結んだ後の書面を受け取った日から起算して8日を過ぎるまで、書面で解除できると定めています。中古の会員権を第三者から買う場合に同じ扱いになるかは契約によって違うため、ゴルフ場や消費生活センターに確認してください。
ゴルフ会員権のトラブルはどこに相談できますか?
契約や解約のトラブルは、消費者ホットライン188(局番なし)で相談できます。預託金の返還請求など法的な判断が必要な場合は、弁護士や法テラスの法律相談を使う方法があります。
まとめ:買う前に確認したい5つのこと
ゴルフ会員権は、通う回数が多く、同じゴルフ場を長く使う人には、プレー料金を下げられる選択肢です。 一方で、預託金の返還や、年会費、名義書換料など、買ってからも負担とリスクが続きます。 買う前に、次の5つを確認してください。- 何回プレーするか、年会費を引いたあとの1年あたりの得はいくらか
- 売買代金のほかに、名義書換料、仲介手数料、初年度の年会費がいくらか
- 預託金の額と据置期間、返還されなかった場合の影響
- 会則と契約書で、売るときと退会するときの条件が分かるか
- 売却して損が出たときの税金の扱い(個人は原則、他の所得と損益通算できない)


