通信教育とは? 3つのタイプに分けて考える
通信教育は、学ぶ目的によって大きく3つのタイプに分けると整理しやすくなります。| タイプ | 主な目的 | 学び方の特徴 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 資格・スキル系の講座 | 資格取得、転職、仕事のスキルアップ | 教材と動画で自宅学習し、添削課題を提出する | 受講料の総額、サポート期間、給付金の対象講座か |
| 大学・短大の通信課程 | 学位の取得、教員免許などの資格 | 印刷教材やオンライン授業に加え、スクーリング(面接授業)がある | 卒業に必要な単位数、スクーリングの日数と場所、学費 |
| 子ども・学生向けの教材型サービス | 学校の学習の補強、受験対策 | 毎月の教材と添削、タブレット学習など | 月額と年額、解約の方法、教材の対象学年 |
通信教育の基本的な仕組み
多くの通信教育は、教材で学び、課題を提出して添削を受け、質問があれば問い合わせるという流れで進みます。 大学の通信課程では、印刷教材等による授業は添削等による指導を併せて行うものとされています(大学通信教育設置基準第3条第2項)。 資格講座でも、添削の回数や質問できる回数が講座ごとに決まっていることが多いため、申込前にサポートの範囲を確認しておくと安心です。資格系講座と大学の通信教育は何が違うのか
「通信教育」の検索では、資格取得向けの講座と、大学の通信教育が混ざって出てきます。 違いを表にすると次のとおりです。| 項目 | 資格系の講座 | 大学の通信教育 |
|---|---|---|
| 得られるもの | 試験合格に向けた知識、講座の修了証など | 卒業すれば学士などの学位 |
| 学ぶ期間 | 講座ごとに異なる(申込前に受講期間を確認する) | 卒業に124単位が必要で、数年単位になる |
| 対面・遠隔の授業 | 講座によって異なる | 面接授業または遠隔授業で30単位以上が必要(遠隔授業は自宅などで受けられるものもある) |
| 運営 | 民間の教育事業者、団体など | 大学・短期大学 |
| 費用の考え方 | 講座ごとの受講料 | 入学金・授業料・教材費・スクーリング費など |
スグレタブログ編集部文部科学省の同じ資料では、令和6年度の通信課程の学生数は、学部が184,735人、大学院が3,634人、短期大学が18,209人と示されています。
学部の学生のうち60,277人は、放送大学学園の学生です。
また、通信制大学の学部は幅広い年齢層で構成され、約半数が有職者とされています。
大学の通信教育で行われる4つの授業方法
文部科学省の資料では、大学通信教育の授業は次の4つの方法のどれか、またはその組み合わせで行うとされています(大学通信教育設置基準第3条)。| 授業方法 | 内容 | 添削などの指導 |
|---|---|---|
| 印刷教材等による授業 | 印刷教材などを送付・指定し、またはその内容をインターネット等で提供して、主にそれで学ぶ | 添削等による指導を併せて行う |
| 放送授業 | 放送などの視聴(インターネット等で提供する映像・音声を含む)で学ぶ | 添削等による指導を併せて行う |
| 面接授業(スクーリング) | 教員と対面で行う講義・演習・実験・実習など | 授業の中で行う |
| メディアを利用して行う授業(遠隔授業) | 通信衛星や光ファイバ等を使い、教室以外の場所で履修する | 同時かつ双方向で行うか、毎回の授業で質疑応答や添削などの十分な指導を併せて行う |
入学する人の年齢層や学歴の傾向
文部科学省の資料によると、通信制大学の学部では、平成初期と比べて23歳から39歳の学生の割合が減り、50歳以上の割合が増えています。 近年は、18歳から22歳の割合も増える傾向にあります。 入学者の最終学歴も、平成4年以降は高校卒業の割合が減り、大学卒業や専門学校修了の割合が増えてきました。 近年は、高校卒業の割合が再び増えています。 同じ資料は、学生の年齢や属性は、資格取得やリカレント(学び直し)といった学習目的や学問分野に応じて、大学ごとに異なる特性が見られると指摘しています。 どの層が多いかは大学ごとに違うため、同じ立場の人が多く学んでいる大学かどうかは、各大学の入学者の情報で確かめると参考になります。大学の通信教育を選ぶときに確認したい点
- 卒業までに必要な単位数と、面接授業・遠隔授業で修得する単位の数
- 面接授業の開催日数、開催場所、開催時期(平日か休日か)
- 遠隔授業が同時双方向か、録画視聴かなどの形式
- 入学金、授業料、教材費、スクーリング費の合計と支払い時期
- 目指す免許や資格に必要な科目が、その大学で履修できるか
- 質問や添削の方法と、返答までのおおよその日数
どちらを選ぶかの目安
- 学位や教員免許など、大学卒業が条件になるものが目的なら、大学・短大の通信課程が候補になる
- 特定の試験に合格することが目的なら、試験に対応した資格系の講座が選びやすい
- 学校の成績や受験対策が目的なら、子ども向けの教材型サービスと、学習塾・家庭教師を比べる
子ども・学生向けの教材型サービスを選ぶとき
子ども向けの通信教育は、毎月届く教材や、タブレットで進める学習、答案の添削などを組み合わせたサービスが中心です。 学校の勉強を補いたいのか、受験に備えたいのかで、必要な教材の中身は変わります。- 対象の学年と教科、学校の教科書に合わせた内容か
- 教材が紙かタブレットか、タブレットは購入か貸与か
- 答案の添削が何日で返ってくるか、質問できる方法
- 月額払いと一括払いの総額の差、退会できる時期と方法
- 保護者向けの学習状況の確認機能があるか
通信教育の費用はどう考えるか
通信教育の費用は、受講料の総額だけで比べると見落としが出ます。 同じ金額に見えても、含まれる内容や支払い方法が講座ごとに違うからです。| 確認する費用 | 見落としやすい理由 |
|---|---|
| 受講料の総額 | 月額表示だと、期間をかけた合計が分かりにくい |
| 教材費・テキスト代 | 受講料に含まれない講座もある |
| 受験料・登録料 | 試験を受ける費用は別になることが多い |
| 添削・質問の追加費用 | 回数を超えると有料になる場合がある |
| 延長・更新の費用 | サポート期間内に終わらないと追加がかかることがある |
| 分割払いの手数料 | 分割やクレジットを使うと総額が増える場合がある |
候補の講座ごとに、「受講料+教材費+受験料+追加費用の見込み」を1行にまとめ、総額を並べて比べます。
月額で表示された講座は、月額に受講期間の月数をかけて総額を出します。
総額を出してから、教育訓練給付金で戻る見込み額を引くと、実質の負担額を比べられます。
教育訓練給付金により、受講料の一部が戻ってくる場合
資格系の講座の中には、厚生労働大臣の指定を受けた講座があり、条件を満たせば受講費用の一部が教育訓練給付金として支給されます。 厚生労働省の案内では、給付金には一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3種類があります。| 種類 | 支給の割合 | 上限 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講費用の20% | 10万円 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 受講費用の40%(資格取得等をして、修了後1年以内に雇用された場合は50%) | 20万円(50%の場合は25万円) |
| 専門実践教育訓練給付金 | 受講費用の50%(資格取得等をして、修了後1年以内に雇用された場合は70%、さらに賃金が5%以上上昇した場合は80%) | 年間40万円(70%の場合は56万円、80%の場合は64万円) |
計算例
例として、一般教育訓練の指定講座で受講費用が20万円かかった場合を考えます。 20万円の20%は4万円で、上限の10万円を下回るため、支給額は4万円です。 受講費用が60万円の場合、20%は12万円ですが、上限が10万円のため、支給額は10万円までです。 特定一般教育訓練で受講費用が30万円なら、40%で12万円です。 専門実践教育訓練で1年間に60万円の費用がかかった場合は、50%の30万円が年間上限の40万円を下回るため、30万円が支給の目安になります。 実際の支給額は、教育訓練施設に支払った経費の範囲などで決まります。 申込前に、ハローワークで確認してください。自分の状況別に見る給付金の確認ポイント
- 働いていて雇用保険に入っている人:受講開始日までの加入期間が条件を満たすか、ハローワークで確認する
- 最近仕事を辞めた人:離職した翌日から受講開始日までが1年以内であることが条件。受講を考えているなら、期限に余裕を持って動く
- 過去に給付を受けたことがある人:受講開始日の前日から過去3年以内に受けていると、支給されない
- 雇用保険に入ったことがない人:加入期間の条件を満たせないため、この制度は使えない可能性が高い。他の支援は自治体やハローワークで聞く
給付金を受け取るための主な条件
- 一般・特定一般は、受講開始日に雇用保険の加入期間が通算3年以上(初めて受ける場合は1年以上)
- 専門実践は、加入期間が通算3年以上(初めて受ける場合は2年以上)
- 離職中の場合は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であること
- 受講開始日の前日から過去3年以内に、教育訓練給付金を受けていないこと
- 計算した支給額が4千円を超えないときは、支給されない
- 指定されていない講座は、給付金の対象にならない
- 申請が遅れると受け取れない。申請期限は訓練修了日の翌日から1か月以内
- 特定一般は、受講開始の2週間前までに受給資格の確認が必要で、訓練前にキャリアコンサルティング(ジョブ・カードの作成)を受ける
申請までの手順
- 厚生労働省の教育訓練講座検索システムで、受講したい講座が指定を受けているか確認する
- ハローワークで、自分が支給要件を満たすか確認する(支給要件照会)
- 特定一般や専門実践は、訓練前キャリアコンサルティングを受けて受給資格の確認を済ませる
- 講座を申し込み、受講費用を支払う
- 修了後、翌日から1か月以内にハローワークへ申請する
ハローワークの案内では、支給要件の照会は照会票を提出して行い、電話での照会はできません。
申込の前に済ませておけば、対象外だったと後で分かる失敗を避けられます。
契約前に確認したい法律面の注意点
通信教育の契約では、申し込み方法によって適用される消費者保護のルールが変わります。特定継続的役務提供との関係
特定商取引法では、長期で高額になりやすい一部のサービスを「特定継続的役務提供」として、クーリング・オフや中途解約のルールを定めています。 消費者庁の資料では、対象はエステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7つとされています。 対象の契約では、8日間のクーリング・オフができ、その後も将来に向けて契約を解除(中途解約)できます。 通信講座という区分は、この7つには挙がっていません。 そのため、通信講座だけを契約する場合は、このルールが使えるとは限りません。 一方、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室といった名目の契約は、通信と組み合わさっていても対象になる場合があります。 迷ったときは、契約書面に「特定継続的役務提供」と書かれているかを確認し、分からなければ消費生活センターに聞いてください。ネットで申し込んだ場合は通信販売の扱い
インターネットで申し込む通信教育は、特定商取引法の「通信販売」にあたる場合があります。 通信販売では、クーリング・オフを利用することができません。 返品や解約ができるかどうかは、事業者が広告に表示した返品特約が優先されます(特定商取引法第15条の3、消費者庁の返品特約表示ガイドライン)。 そのため、申込ボタンを押す前に、返品・解約の条件がどこに書かれているかを自分で見つけておく必要があります。
スグレタブログ編集部- 解約できる期間と、解約の連絡方法(電話のみ、会員ページなど)
- 解約時に返金される範囲と、手数料の有無
- 教材を開封・使用したあとの扱い
- 自動更新の有無と、更新の連絡時期
- 分割払いの場合、解約後の支払いが残るか
困ったときの相談先
解約や契約をめぐって意見が食い違うときは、消費者ホットライン「188」へ電話してください。電話をかけた地域の消費生活相談の窓口につながります。 訪問や電話の勧誘で契約した場合は、クーリング・オフができるケースがあるため、早めに相談してください。 給付金の手続きについては、ハローワークが窓口になります。通信教育を選ぶときのチェックポイント
目的が決まり、費用と契約の条件を確認したら、講座そのものの中身を比べます。| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 目的との一致 | 目指す資格や試験の範囲を、教材がカバーしているか |
| 学習の進め方 | テキスト中心か、動画中心か、アプリで進めるか |
| サポート | 添削の回数、質問の方法と返答までの目安 |
| 期間 | 受講期間と、延長ができるか |
| お試し | 無料の資料請求、サンプル教材、体験の有無 |
| 最新性 | 法改正や試験の変更に合わせて教材が更新されるか |
講座を申し込む前に、試験側の情報を確認する
- 受験資格に実務経験や学歴などの条件がないか
- 試験の実施時期と、申込の締め切り
- 出題範囲が直近で変更されていないか
- 受験料と、合格後に必要な登録の費用
自分に合うかを確かめる方法
- 資料請求やサンプル教材で、文章の分かりやすさと分量を見る
- 1日に確保できる学習時間を決め、受講期間内に終わる量か計算する
- 質問や添削の連絡手段が、自分の生活に合うか確認する
- 支払い総額と、給付金が使える場合の実質負担額を並べて比べる
学習時間を逆算する計算例
受講期間が6か月の講座で、教材全体を終えるのに合計120時間かかると案内されている場合を例にします。 6か月は約26週なので、120時間を26週で割ると、1週間あたり約4.6時間です。 平日5日に分けるなら、1日あたり約55分になります。 ここに、試験前の復習や添削課題の時間を2〜3割足して考えると、1日1時間強が目安になります。 この計算をせずに申し込むと、仕事や家事の予定と合わず、受講期間の後半に学習量が集中してしまいます。 自分が確保できる時間と、必要な時間の差が大きいときは、受講期間が長い講座を選ぶか、期間の延長ができる講座を選ぶほうが現実的です。通信教育を続けるためのコツとよくある失敗
通信教育は自分のペースで学べる反面、続けるのが難しいといわれます。 よくある失敗には、次のようなものがあります。- 教材が届いて満足し、学習を始めないまま期間が過ぎてしまう
- 最初に詰め込みすぎて、1か月ほどで息切れする
- 質問できる回数を使い切らないまま、分からない箇所を放置する
- 受講期間の終わりが近づいてから、残りの量に気づく
- 学習する曜日と時間帯を先に決め、カレンダーに入れておく
- 1回の学習量を小さくし、毎日続けられる量から始める
- 添削課題の提出日を、自分で区切りとして設定する
- 仕事や家事で止まった日があっても、翌日に再開できるよう予定に余白を作る

受講料やサポートの内容を比べる視点は、スクール選びでも共通します。

ただしFXスクールは金融商品の取引に関わるため、通信教育とは注意点が異なります。
通信教育についてよくある質問
通信教育と通信制大学は同じものですか?
同じではありません。通信制大学は、大学や短期大学が行う通信課程で、卒業すれば学位が得られます。通信教育は、資格講座や子ども向け教材も含めた広い呼び方です。
大学の通信教育は、スクーリングなしで卒業できますか?
制度上は、卒業に必要な124単位のうち30単位以上を、面接授業またはメディアを利用した遠隔授業で修得する決まりです。遠隔授業は教室以外の場所で受けられますが、面接授業が必要な大学もあります。通学の要否は大学ごとに異なるため、募集要項で確認してください。
通信講座の受講料は教育訓練給付金で戻りますか?
厚生労働大臣の指定を受けた講座で、雇用保険の加入期間などの条件を満たす場合に、受講費用の一部が支給されます。対象の指定講座かどうかは、教育訓練講座検索システムで調べられます。条件の照会はハローワークで行います。
申し込んだ通信講座は、クーリング・オフで解約できますか?
契約の形によって変わります。ネットでの申込は通信販売にあたる場合があり、通信販売にはクーリング・オフの制度がありません。広告に表示された返品特約を確認してください。訪問や電話での勧誘で契約した場合は、クーリング・オフができる場合があります。
契約や解約でトラブルになったらどこに相談すればよいですか?
まずは消費者ホットライン「188」に電話してください。相談員に状況を伝えると、解約や返金について助言を受けられます。契約書面、申込画面や広告のスクリーンショット、事業者とのやり取りの記録を手元に用意しておくと、話が早く進みます。
教材が届いたあとに、内容が合わないと感じたらどうすればよいですか?
まず契約書面や利用規約で、返品・解約の条件と期限を確認し、早めに事業者へ連絡します。連絡方法が電話のみ、会員ページのみと決まっている場合があるため、指定された方法で記録が残る形にしておくと安心です。


