地球温暖化とは?原因と気温上昇の現状、家庭でできる対策を公式データで解説

地球温暖化とは?原因と気温上昇の現状、家庭でできる対策を公式データで解説
ニュースで「過去最も暑い夏」と聞くたびに、地球温暖化という言葉は知っていても、何が原因で、どこまで進んでいて、自分は何をすればいいのかまでは説明しにくいと感じる人は多いはずです。 この記事では、気象庁・環境省・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の公表資料をもとに、地球温暖化の仕組みと原因、観測されている気温の変化、予測されていること、国と世界の対策、家庭でできることを順に整理しました。 世界の平均気温は、産業革命前と比べて2011〜2020年に約1.1℃上がったとされています。 数字はすべて、公式サイトで確認できたものだけを載せています。
目次

地球温暖化とは?温室効果ガスで気温が上がる仕組み

地球温暖化の基本的な仕組みと温室効果ガスがもたらす影響 地球温暖化とは、大気中の温室効果ガスが増えたことで、地球の平均気温が長い時間をかけて上がっていく現象です。 地球は太陽から熱を受け取り、その一部を宇宙へ逃がすことでつり合いを保っています。 大気中の二酸化炭素(CO2)やメタンなどの温室効果ガスは、地表から出ていく熱の一部を吸収して、地表に戻す働きをします。 この働きがあるおかげで、地球は生き物が暮らせる気温に保たれています。 問題になっているのは、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を燃やす量が増え、温室効果ガスの濃度が上がり続けていることです。

温室効果ガスの種類と温暖化への強さ

温室効果ガスはCO2だけではありません。 環境省が温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)施行令にもとづいて公表している地球温暖化係数(CO2を1としたときの、100年間の温暖化への強さ)は、次のとおりです。
ガス地球温暖化係数主な出どころ
二酸化炭素(CO2)1石炭・石油・ガスなどの燃焼
メタン(CH4)28家畜、稲作、廃棄物の埋め立てなど
一酸化二窒素(N2O)265肥料、燃料の燃焼、工業プロセスなど
ハイドロフルオロカーボン類(HFC)物質により異なる(HFC-32は677、HFC-23は12,400)エアコン・冷蔵庫の冷媒など
六ふっ化硫黄(SF6)23,500電気機器の絶縁ガスなど

※係数は環境省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」(2025年)の値です。出どころは主なものを挙げています。

1トンあたりの温暖化への強さはメタンやフロン類のほうがはるかに大きい一方、排出量が最も多いのはCO2です。 日本の2024年度の排出量(環境省)では、温室効果ガス全体の約92.8%をCO2が占めています。

大気中のCO2濃度はどこまで増えたか

気象庁によると、2024年の大気中CO2の世界平均濃度は423.9ppmで、前年より3.5ppm増えました。 工業化以前(1750年ごろ)の約278ppmと比べると、約52%の増加です。
ここまでの要点
  • 温室効果そのものは自然な働きで、問題は温室効果ガスが増えすぎていること
  • ガスごとに温暖化への強さが違い、量が多いのはCO2
  • CO2濃度は工業化前から約5割増えている

地球温暖化の原因は人間活動

IPCC第6次評価報告書の統合報告書は、人間活動が主に温室効果ガスの排出を通じて地球温暖化を引き起こしてきたことには疑う余地がない、と結論づけています。 環境省がまとめた概要でも、世界の平均気温は1850〜1900年を基準にすると、2011〜2020年に1.1℃の温暖化に達したとされています。

排出の中心は化石燃料の燃焼

日本の例で見ると、2024年度の温室効果ガス排出量は約10億4,600万トン(CO2換算)で、そのうちCO2が約9億7,100万トンです。 CO2の大半は、電気をつくる、工場を動かす、車を走らせる、建物や家庭で燃料や電気を使うといった、エネルギーの利用から出ています。 日本の目標管理では、森林などによる吸収量も別に数え、排出量から差し引いた「排出・吸収量」を使います。

日本のCO2排出は部門別にどう分かれるか

環境省の概況資料では、2024年度のエネルギー起源CO2(約9億700万トン)を、発電で出た分を電気を使った側に割り振った場合の部門別割合が、次のとおり示されています。
部門割合内容の例
産業部門37%鉄鋼、化学、機械などの工場
運輸部門21%自動車、船舶、航空など
業務その他部門18%オフィス、店舗、病院、学校など
家庭部門16%家庭での電気・ガス・灯油などの使用
エネルギー転換部門8%発電所や製油所の自家消費など

※割合は四捨五入のため合計が100%にならないことがあります。

家庭部門は全体の約16%です。 小さく見えても、買う物や使う電気の選び方は、産業・業務の排出にも間接的につながっています。
スグレタブログ編集部スグレタブログ編集部
家庭部門は約16%でも、電気の使い方や買う物の選び方は、産業や業務の排出にもつながっています。数字で自分の暮らしの位置を知るところから始めてみてください。

観測されている気温上昇と現在地

実際に気温がどのくらい上がっているのか、気象庁の観測データで確認します。
項目世界の平均気温日本の平均気温
長期的な上昇ペース100年あたり0.79℃(1891〜2025年)100年あたり1.44℃(1898〜2025年)
2025年の偏差(1991〜2020年平均との差)+0.48℃(統計開始以降3位)+1.23℃(統計開始以降3位)
最も高かった年2024年(+0.63℃)2024年(+1.48℃)

※気象庁「世界の年平均気温」「日本の年平均気温」より。基準値は1991〜2020年の30年平均です。

日本の上昇ペースが世界平均より大きい背景として、気象庁は、上昇が海上より陸上で大きく、北半球の高緯度ほど大きい傾向があると説明しています。 世界の年平均気温は上下を繰り返しながら上がっており、特に1990年代半ば以降は高温になる年が多くなっています。

「1.1℃」と「1.5℃」と「+0.48℃」の違い

ニュースで見る「1.1℃」や「1.5℃」は、産業革命前(1850〜1900年)との比較です。 一方、気象庁の偏差は1991〜2020年の平均が基準なので、数字が小さく見えます。 基準が違う数字を並べて「どちらが正しいのか」と迷いやすいところです。 比べるときは、必ず何を基準にした数字なのかを確認してください。

これから予測されること:1.5℃を超える時期とシナリオ

IPCCの統合報告書は、温室効果ガスの排出が続けば、世界の平均気温は最良推定で2040年までに1.5℃に達すると示しています。 環境省の概要によると、多くのシナリオでは2030年代前半とされています。 また、2021年10月までに各国が示した2030年の排出削減目標(NDC)を前提にすると、21世紀の間に1.5℃を超える可能性が高いと評価されています。
前提IPCCの評価
これまでに実施された政策のまま約3.2℃(2.2〜3.5℃)の温暖化をもたらす排出量が予測されている
温暖化を1.5℃に抑える(可能性50%超)世界のCO2排出量を2050年代初めに正味ゼロにする必要がある
温暖化を2℃に抑える(可能性67%超)世界のCO2排出量を2070年代初めに正味ゼロにする必要がある

※環境省「IPCC第6次評価報告書(AR6)統合報告書の概要」(2024年11月版)より。

何をいつまでにどれだけ減らす必要があるか

統合報告書は、温暖化を1.5℃に抑える経路(オーバーシュートしない、または限られる場合)では、温室効果ガスを2019年比で2030年に43%、2035年に60%、2040年に69%、2050年に84%減らす必要があるとしています。 2℃に抑える経路でも、2030年に21%、2035年に35%、2040年に46%、2050年に64%の削減が必要です。 世界の排出量は、2020年から遅くとも2025年までにピークを迎える必要があるともされています。

地球温暖化の影響と、私たちの生活との関係

IPCCの統合報告書は、人為的な気候変動がすでに世界中のすべての地域で、多くの極端な天候や気候に影響を及ぼしていると述べています。 また、温暖化が進むほど損失と損害は増え、より多くの人間社会や自然が適応の限界に達するとしています。 具体的な影響の出方は地域によって違うため、お住まいの地域の影響は、環境省・気象庁や自治体が公表する地域気候変動適応計画などで確認するのが確実です。

猛暑や大雨は、自分の地域のデータで確認する

猛暑や大雨の増加、海面水位や海水温の上昇といった変化は、気温上昇が進むほど大きくなると考えられています。 日本については、気象庁が「気候変動ポータル」で、大雨や猛暑日などの長期的な変化を公開しています。 夏の暑さへの備えは、熱中症対策と一体で考える必要があります。

「緩和」と「適応」は別の対策

地球温暖化への対策は、大きく2つに分かれます。
  • 緩和:温室効果ガスの排出を減らす、森林などで吸収を増やす。温暖化そのものを抑える対策
  • 適応:すでに起きている、これから避けにくい影響に備える。熱中症対策、水害に備えた避難計画、暑さに強い作物への転換など
日本では2018年に気候変動適応法が制定され、国と自治体が適応策を進める枠組みができました。 国立環境研究所の気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)は、緩和と適応の両方で取り組む必要があると説明しています。
スグレタブログ編集部スグレタブログ編集部
暑さ対策と温暖化対策は、片方のために片方を犠牲にするものではありません。猛暑の日は冷房や水分補給を優先し、熱中症を避けてください。

日本の対策:目標と現在地

日本は、2050年にネット・ゼロ(排出量と吸収量を差し引いてゼロ)にする目標を掲げています。 環境省が2026年4月に発表した2024年度の算定結果は、次のとおりです。
項目内容
2024年度の排出・吸収量約9億9,400万トン(CO2換算)。2023年度比1.9%減、2013年度比28.7%減
2030年度目標2013年度比46%減
2035年度目標2013年度比60%減
2040年度目標2013年度比73%減
2050年目標ネット・ゼロ
電源構成(2024年度)再生可能エネルギー23.1%(水力含む)、原子力9.4%、火力67.5%

※環境省「2024年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量(概要)」より。

2013年度以降の最低値で、初めて10億トンを下回りました。 実質GDP当たりの排出量も12年連続で減っています。 ただし、2030年度の目標(2013年度比46%減)までには、あと約17ポイントの削減が必要です。 火力発電が電源の約3分の2を占めているため、電気の使い方と電源の切り替えの両方が、今後の削減に関わります。

脱炭素の考え方と、電気のつくり方

排出量と吸収量を差し引いてゼロにする考え方(カーボンニュートラル)の意味は、次の記事で整理しています。
あわせて読みたい
カーボンニュートラルってなに?子どもにも説明できる取り組みを解説 SDGSの話題で耳にする「カーボンニュートラル」。 子どもにも説明できるように、分かりやすくカーボンニュートラルの意味、具体的な取り組みをまとめました。 カーボン...

電気を何でつくるかも、温暖化対策の大きな論点です。

太陽光・風力などの種類ごとの特徴や補助金の制度は、次の記事で比べられます。
あわせて読みたい
一般家庭でも導入できるクリーンエネルギーってなに? 近年、家庭でクリーンエネルギーを利用することが、地球環境への配慮やコスト削減の一環として重要視されています。 太陽光発電や風力発電、地熱エネルギーなどの再生可...

家庭でできる地球温暖化対策

家庭でできる対策は、使っているエネルギーの内訳から優先順位をつけると続けやすくなります。 環境省の概況資料によると、2024年度の家庭部門のエネルギー起源CO2(約1億4,600万トン)は、燃料別では電力が68.7%、続いて都市ガス、灯油、LPガスの順です。
用途家庭部門のCO2に占める割合見直しやすいこと
照明・家電製品など44%使っていない家電の電源オフ、買い替え時に省エネ性能を比べる
暖房23%設定温度、窓の断熱、使う部屋を絞る
給湯19%お湯の使いすぎを避ける、給湯器の買い替え時に高効率機種を検討
厨房8%調理方法や鍋の使い方の見直し
冷房6%フィルター掃除、設定温度、扇風機との併用

※割合は環境省の概況資料(2024年度)の値です。「見直しやすいこと」は割合をもとにした一般的な例で、削減量の数値は載せていません。

エアコンや照明、キッチン、お風呂などの家庭向けの省エネ方法と、金額やCO2への換算の考え方は、資源エネルギー庁の「無理のない省エネ節約」にまとまっています。 効果の大きさは住まい方や機器の年式で変わるため、数値は同ページで確認してください。

無理なく続けやすい順に

  1. 毎月の電気・ガスの使用量を検針票やアプリで確認し、季節ごとの増減を知る
  2. 照明・家電は、使っていないときに電源を切る。買い替えのときは省エネ性能の表示を比べる
  3. 暖房・冷房は、設定温度と使う時間を見直す。窓にカーテンや断熱シートを使う
  4. お湯を使う量を減らす(シャワーの時間、追い焚きの回数)
  5. 使い捨てを減らす、食品ロスを減らすなど、モノの量そのものを減らす
家庭部門のCO2の約7割は電気に由来するため、電気の使用量を減らすことが、数字に表れやすい取り組みです。 一方で、設定温度を我慢しすぎて熱中症や体調不良になっては本末転倒です。 高齢の方や小さな子どもがいる家庭では、暑い日は無理に冷房を止めないでください。

ごみを減らすことも温暖化対策につながる

モノをつくる、運ぶ、捨てるときにもエネルギーが使われ、温室効果ガスが出ます。 プラスチックごみを減らす具体的な方法は、次の記事で扱っています。
あわせて読みたい
プラスチックごみの分別と削減!資源循環法の内容と海洋ごみ問題をわかりやすく解説 プラスチックごみは、ペットボトルやお菓子の袋のように毎日出るのに、分け方は住んでいる市区町村によって違います。 「プラスチックごみとは何か」「どう分ければいい...

マイボトルや詰め替え用を選ぶといった小さな行動も、モノの量を減らす取り組みの一つです。

「温暖化対策」をうたう商品やサービスを選ぶとき
  • 「これだけで温暖化が止まる」「効果が数倍になる」など、根拠が示されていない表現は鵜呑みにしない
  • 高額な設備は、補助金の有無と対象条件を自治体や国の公式ページで確認してから判断する
  • 契約や勧誘で困ったときは、消費者ホットライン(188)に相談できる

よくある誤解と確認したいこと

  • 寒い日があっても、温暖化が止まったことにはならない。気象庁の統計は、年や数十年単位の平均で見ている
  • 温暖化の原因はCO2だけではない。メタンやフロン類なども関わるが、排出量が最も多いのはCO2
  • 個人の行動だけでは足りない。ただし、家庭部門は日本の排出の約16%を占め、家庭の選択が企業や制度を動かす面もある
  • 数字は毎年更新される。記事で見た値は、気象庁・環境省の最新ページで確認する
地球温暖化と気候変動は同じ意味ですか?

完全に同じではありません。地球温暖化は平均気温が上がる現象を指し、気候変動は気温だけでなく大雨や干ばつの増減など気候全体の変化を指す広い言葉です。公的機関の資料でも両方が使われています。

地球の平均気温は、すでに何℃上がっていますか?

IPCCの統合報告書では、1850〜1900年を基準にして2011〜2020年に1.1℃の温暖化に達したとされています。気象庁の統計は1991〜2020年の平均が基準のため、数字は別に見えます。

1.5℃を超えると何が変わるのですか?

IPCCは、温暖化が進むほど損失と損害が増え、適応の限界に達する人間社会や自然が増えると評価しています。影響の出方は地域で異なるため、お住まいの地域の予測は自治体の適応計画などで確認してください。

日本の温室効果ガスは減っていますか?

環境省によると、2024年度の排出・吸収量は約9億9,400万トンで、2013年度比28.7%減でした。2030年度の目標は2013年度比46%減で、そこまでにはさらに削減が必要です。

家庭では何から始めればよいですか?

家庭部門のCO2の約7割は電気に由来し、用途別では照明・家電、暖房、給湯の順に多くなっています。まず毎月の使用量を確認し、使っていない電源を切る、暖房や給湯の使い方を見直すことから始められます。

暑い日に冷房を我慢して温暖化対策をしてもよいですか?

おすすめしません。熱中症は命に関わるため、暑い日は冷房を使って体調を優先してください。フィルター掃除や扇風機の併用など、無理のない見直しにとどめるのが現実的です。

まとめ

地球温暖化は、温室効果ガスが増えて、地球の平均気温が上がる現象です。 IPCCは人間活動が原因であることに疑う余地はないとしており、世界の平均気温は産業革命前から2011〜2020年に約1.1℃上がりました。 日本は、2024年度の排出・吸収量が2013年度比で28.7%減りましたが、2030年度の目標(46%減)までには差があります。 家庭では、家庭部門のCO2の約7割を占める電気と、暖房・給湯の使い方を見直すところから始められます。 数字が更新される分野なので、最新の値は気象庁・環境省・IPCCの公式ページで確認してください。
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

近年に役立つ情報からトレンドニーズまで、幅広いジャンルを厳選してピックアップした記事をご紹介しております!お客様が知りたいコンテンツがイッパイあります!

目次