内装工事とは?建物の内側を仕上げる工事
内装工事とは、建物の内部の壁・床・天井などを仕上げたり、間仕切りや造作を設けたりして、空間を使える状態にする工事のことです。 建物の骨組みをつくる工事(躯体工事)や、外壁・屋根をつくる外装工事とは別の工程で、完成に近い段階で行われます。 法律上の位置づけは、国土交通省の建設業許可の業種区分で確認できます。 国土交通省の業種区分では、「内装仕上工事」を、木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事としています。 例として挙がっているのは、インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事です。 つまり、壁紙(クロス)の張り替えだけでなく、床材の張り替え、天井の仕上げ、間仕切り壁の新設、ふすまやたたみの工事も、内装工事の範囲に入ります。- 壁紙(クロス)の張り替え、壁の塗装
- フローリングやクッションフロア、カーペットなど床材の張り替え
- 天井の張り替え、吊り天井の施工
- 石膏ボードを使った間仕切り壁の新設
- たたみ、ふすまの入れ替え
- 防音を目的とした壁・床・天井の施工(ホールなど構造的に音響効果を目的とする工事は含まれない)
内装工事と、リフォーム・リノベーションの違い
内装工事は「工事の種類」を指す言葉で、リフォームやリノベーションは「建物をどう変えるか」という目的や規模を指す言葉です。 たとえば、キッチンの設備交換と壁紙の張り替えを一緒に行うリフォームでは、設備の入れ替えと内装工事が組み合わさっています。 両者の線引きは、次の記事で歴史とあわせて説明しています。
内装工事だけを依頼する場合でも、水まわりや電気に手を入れるなら、別の業種の業者が加わる点を押さえておくと、見積りの内訳が読みやすくなります。
内装工事の主な工事内容は仕上げ・設備・造作
内装工事の解説では、工事内容を「仕上げ」「設備」「造作」の3つに分けて説明されることが多くあります。 ただし、これは一般的な説明上の分け方です。国土交通省の建設業許可の区分では、工事の中身ごとに該当する業種が分かれています。| 分類 | 工事の例 | 建設業許可の業種(国土交通省の区分より) |
|---|---|---|
| 仕上げ | 壁紙張り、床材張り、天井仕上げ、間仕切り壁、たたみ、ふすま | 内装仕上工事(ふすまは建具工事の例にも挙がる) |
| 塗装 | 壁や天井の塗装、布張り仕上げ | 塗装工事 |
| 設備 | コンセントや照明の配線、敷地内の給排水の配管 | 電気工事、管工事 |
| 造作 | 木材の加工や取付け、造り付けの棚、木製の建具や枠 | 大工工事(造作工事を含む)、建具工事 |
| 家具 | 建築物に据え付ける家具、現場で組み立てる家具 | 内装仕上工事(家具工事) |
仕上げ工事:壁・床・天井の表面をつくる
仕上げ工事は、利用者が目にする壁・床・天井の表面をつくる工事です。 壁紙の張り替え、フローリングやビニール床タイルの張り替え、天井ボードの施工が代表例です。 下地の状態によって工事の手間が変わるため、見積りの前に現地を見てもらい、下地の補修が必要かを確認しておくと、追加費用が出にくくなります。設備工事:電気・配管・空調は別の資格や業種が関わる
照明やコンセントの増設は電気工事、給排水の配管は管工事にあたり、内装仕上げの業者がそのまま行えるとは限りません。 国土交通省の区分では、電気工事は発電設備や構内電気設備などを設置する工事、管工事は家屋その他の施設の敷地内の配管工事などとされています。 内装工事を頼む業者が、設備工事まで自社で行うのか、提携先に依頼するのかは、見積りの段階で確認してください。造作工事:その場で寸法に合わせてつくる
造作工事は、現場の寸法に合わせて木材を加工し、棚、カウンター、框(かまち)などを造り付ける工事です。 国土交通省の区分では大工工事の例に「造作工事」が挙がっています。 既製品の家具では収まらない場所を活用できる反面、設計や職人の手間がかかります。見積りでは、材料費と加工費が分かれているかを確認すると、他社との比較がしやすくなります。- どの部屋・どのフロアを工事するか(広さの目安も)
- 壁・床・天井のどこを何に変えるか
- 電気や水まわりの変更があるか
- いつまでに使い始めたいか
- 賃貸の場合は、貸主や管理会社の承諾を得ているか
住宅とテナントで違う内装工事のルール
住宅の内装工事は、持ち家なら所有者の判断で進められます。 賃貸の場合は、貸主や管理会社の承諾と、退去時の原状回復がかかわります。 事務所や店舗などのテナントでは、さらにビルオーナーが決めた工事区分に従う必要があります。
スグレタブログ編集部テナントのA工事・B工事・C工事
オフィスビルや商業ビルのテナント工事は、A工事・B工事・C工事に分けて管理されることが一般的です。 この区分は、法律で定められたものではありません。ビルごとに工事の範囲や費用負担の決め方が違うため、契約前に、ビルの工事区分表や規定を書面で確認する必要があります。| 区分 | 発注者・費用負担 | 業者を決める人 | 一般的な例 |
|---|---|---|---|
| A工事 | ビルオーナーが発注し、費用もオーナーが負担 | ビルオーナー | 共用部、建物の基本設備、外壁など |
| B工事 | テナントの要望で行い、費用はテナントが負担 | ビルオーナー(指定業者) | 空調や防災設備、スプリンクラーなど建物の設備に関わる工事 |
| C工事 | テナントが発注し、費用もテナントが負担 | テナント | 間仕切り、壁紙、床、造作、家具、店舗の看板など |
スケルトンと居抜きで、必要な工事が変わる
テナントの物件は、内装や設備が何も残っていない「スケルトン」の状態で貸し出される場合と、前のテナントの内装や設備が残った「居抜き」の状態で貸し出される場合があります。 スケルトンでは、壁・床・天井をはじめから仕上げるため、内装工事の範囲が広くなります。 居抜きでは、残っている内装をそのまま使えれば工事を減らせる一方、設備の状態や使い方が自分の業種に合うかを確認する必要があります。 どちらの場合も、契約書に退去時の原状回復の範囲が書かれているため、入居前に確認しておいてください。賃貸住宅の内装と原状回復
賃貸住宅では、契約書や管理会社の承諾なしに内装を変えると、退去時に費用を請求される場合があります。 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、原状回復を、賃借人の居住・使用で生じた建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超える使用による損耗・毀損を復旧することと定義しています。 同じガイドラインは、経年変化や通常の使用による損耗の修繕費用は賃料に含まれるとしており、原状回復は借りた当時の状態に戻すことではない、と明確にしています。 一方で、借主の負担となる損傷でも、経過年数を考慮して負担割合を決める考え方が示されています。 退去時の請求に納得できないときは、ガイドラインの考え方を確認したうえで、貸主や管理会社に説明を求めてください。内装工事を依頼する流れ
内装工事は、相談から引き渡しまで、おおむね次の順で進みます。- 要望の整理:使う目的、工事する場所、希望の時期を書き出す
- 業者への相談・現地調査:現場の寸法や下地の状態を見てもらう
- 見積りの取得:2〜3社から取り、工事範囲と金額を比べる
- 契約:見積書、工期、支払条件、保証の内容を書面で確認する
- 工事の実施:近隣や管理組合へ挨拶し、工事中の変更は書面に残す
- 完了検査・引き渡し:仕上がりを確認し、不具合があれば引き渡し前に伝える
工期が延びやすい理由と職人不足
工事の時期や内容によっては、材料の入荷や職人の手配が間に合わず、工期が延びる場合があります。 とくに、引っ越しや開店日が決まっている工事は、工事の開始と終了の時期を契約前に書面で確認しておくと安心です。 職人の減少は内装に限った話ではなく、大工の不足が工期や費用に影響し始めている点は、次の記事で国の統計をもとに整理しています。
人手の確保という点では、製造業で期間工と企業をつなぐマッチングの仕組みも参考になります。

内装工事の業者選びと建設業許可の目安
内装工事の業者には、内装専門の会社、工務店、設計も一括で行う会社、ビルが指定する会社などがあります。 どの業者が向いているかは、工事の規模と、設計から任せたいかどうかで変わります。| 依頼先 | 向いているケース | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 内装専門業者 | 壁紙や床など仕上げ中心の工事 | 電気・配管を伴う場合の対応方法 |
| 工務店・リフォーム会社 | 住宅で、設備や造作も含めて頼みたい | 実際に施工する会社はどこか |
| 設計施工の会社 | 店舗やオフィスで、デザインから任せたい | 設計費と施工費の内訳 |
| ビルの指定業者 | B工事など、オーナーが業者を決める工事 | 見積りの競争がない分、内容の確認が必要 |
500万円未満なら許可なしで請け負える
建設工事を請け負う業者は、原則として建設業法第3条に基づく許可が必要です。 ただし、国土交通省の案内では、「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は許可がなくてもよいとされています。 内装仕上工事など建築一式工事以外の工事では、1件の請負代金が500万円未満の工事が軽微な建設工事にあたります。 建築一式工事の場合は、1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事が目安です。 金額は消費税を含みます。 許可がないこと自体は違法ではありませんが、500万円以上の内装工事を許可なしで請け負うことはできません。 許可を持っている業者かどうかは、見積りの前に確認できます。 許可には有効期間が5年あり、5年ごとの更新が必要です。許可番号と有効期間は、業者に尋ねれば教えてもらえます。- 工事の金額が500万円(消費税込み)を超える場合は、許可の有無を必ず聞く
- 許可の業種に「内装仕上工事」が入っているかを確認する
- 許可を出した行政庁(国土交通大臣か都道府県知事)と有効期間を確認する
- 500万円未満でも、過去の施工実績や保険の加入状況を聞く
見積書で確認する5つのこと
見積書は、金額だけでなく、何が含まれているかを読むことが大切です。- 工事範囲:どの部屋の、壁・床・天井のどれを工事するか
- 材料:品名、メーカー、数量。同等品に変更できる範囲
- 諸経費・養生費・廃材処分費:別項目か、工事費に含まれるか
- 工期:開始日と完了予定日
- 追加費用の条件:下地の補修が必要になったときの扱い
内装工事でよくある失敗と防ぎ方
内装工事の相談で多いのは、工事そのものの出来よりも、工事前の確認不足から起きる食い違いです。- 工事範囲があいまいなまま契約し、「ここは含まれていない」と言われて追加費用になる
- 壁紙や床材をサンプルではなく名前だけで決め、仕上がりの色や質感が想像と違った
- 引き渡しや開店の日から逆算せず、工期にまったく余裕がなかった
- 貸主や管理会社の承諾を取る前に着工し、元に戻すよう求められた
- 工事中の変更を口頭で伝え、完了後に金額で揉めた
- 見積書の「一式」を分解してもらい、含まれる範囲を書面にする
- 材料はカタログの名前だけでなく、サンプルを自分の目で見て決める
- 開店日や入居日の1〜2週間前を工事の完了目標にして、予備日をつくる
- 承諾の可否は、メールなど記録の残る形で受け取る
- 変更は、金額と工期の変更をまとめた書面に双方が署名する
用途別に先に確認すること
| 建物の種類 | 先に確認すること |
|---|---|
| 持ち家(戸建て) | 工事範囲、材料、設備工事の有無、工期中の生活への影響 |
| 分譲マンション | 管理規約、工事できる時間帯、管理組合への届出の要否 |
| 賃貸住宅 | 貸主・管理会社の承諾、退去時の原状回復の範囲 |
| オフィス・店舗のテナント | A・B・C工事の区分、指定業者の有無、原状回復の範囲 |
| 飲食店・物販店・宿泊施設 | 防炎物品の対象になるカーテンやじゅうたん、設備工事の資格が要る範囲 |
引き渡しのときに見ておく箇所
工事が終わったら、業者と一緒に、見積書に書かれた範囲がすべて仕上がっているかを確認します。 壁紙の継ぎ目の浮き、床の傷や段差、建具の開け閉め、照明やコンセントの動作、天井や壁の汚れは、引き渡しの日に見つけたほうが直してもらいやすくなります。 気になる点は、その場で写真を撮り、手直しの期限を業者と書面で決めておいてください。工事の前に確認したい規則と注意点
内装工事は、見た目を変えるだけの工事と思われがちですが、安全に関わる決まりもあります。店舗や施設では防炎物品が必要になる場合がある
消防法の防炎規制では、不特定多数の人が出入りする施設や高層建築物で使うカーテンやじゅうたんなどに、防炎性能が求められます。 日本防炎協会の案内によると、防炎物品として定められているのは、カーテン、布製ブラインド、じゅうたん等、展示用合板、舞台で使う幕や大道具用の合板、暗幕・どん帳、工事用シートです。 対象となる防火対象物には、高層建築物、地下街のほか、劇場、飲食店、百貨店などの物品販売店舗、旅館・ホテル、病院などが政令で指定されています。 飲食店や物販店、宿泊施設の内装を整えるときは、カーテンや床のカーペットが防炎物品の対象か、業者に確認してください。マンションや賃貸ビルでは、工事の承諾と届出が先
分譲マンションでは、管理規約で工事の可否や時間帯が決められている場合があります。 賃貸の場合は、貸主や管理会社の承諾を得てから工事の契約をするのが安全です。 承諾を得る前に着工すると、元に戻す費用を請求されたり、工事を中断させられたりするおそれがあります。内装工事の契約トラブルと相談先
内装工事では、見積りと請求額が合わない、工事の仕上がりに不満がある、訪問販売で契約してしまった、といったトラブルが起こります。
スグレタブログ編集部訪問販売で契約してしまった場合
消費者庁の特定商取引法ガイドによると、訪問販売で契約した場合、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録でクーリング・オフ(契約の申込みの撤回や解除)ができます。 クーリング・オフをすると、すでに工事が始まっていても、代金を支払う必要はありません。 ただし、現金取引で代金の総額が3,000円未満の場合は、適用されません。 業者に「クーリング・オフはできない」などと事実と違う説明をされて行使できなかった場合は、8日を過ぎても行使できるとされています。 行使するときは、特定記録郵便、書留、内容証明郵便など、送ったことが証明できる方法が勧められています。相談先の使い分け
| 困りごと | 相談先 |
|---|---|
| 訪問販売や強引な勧誘、契約の解約 | 局番なしの消費者ホットライン188で、近くの消費生活センターに相談する |
| リフォーム見積書の内容、工事の技術的な相談 | 住まいるダイヤル(03-3556-5147) |
| 賃貸の原状回復の請求 | 貸主・管理会社との話し合い。国土交通省の原状回復ガイドラインを確認 |
| 建設業許可の有無の確認 | 許可を出した国土交通省の地方整備局や都道府県 |
内装工事のよくある質問
内装工事とリフォームは何が違いますか?
内装工事は壁・床・天井など建物の内側を仕上げる工事を指します。リフォームは住まい全体の改修を指す広い言葉で、内装工事のほかに外壁や屋根、水まわり設備の入れ替えなども含みます。内装工事だけで済むリフォームもあれば、設備や構造に手を入れる工事と組み合わさるリフォームもあります。
内装工事を請け負うには、建設業許可が必要ですか?
国土交通省の案内によると、建築一式工事以外の工事で、1件の請負代金が500万円(消費税込み)未満の軽微な建設工事だけを請け負う場合は、建設業許可を取らなくてもかまいません。500万円以上の内装仕上工事を請け負うには、許可が必要になります。許可の有無は、見積りを依頼する前に業者へ確認しておくと安心です。
テナントのA工事・B工事・C工事とは何ですか?
ビルの賃貸でよく使われる区分で、A工事はビルオーナーが発注して費用も負担する工事、B工事はテナントが費用を負担しオーナー指定の業者が行う工事、C工事はテナントが業者を選び費用も負担する工事を指すのが一般的です。ただし法律で定められた区分ではなく、ビルごとに範囲や費用負担が違います。契約前に工事区分表や規定の書面で確認してください。
賃貸住宅の内装は自由に変えてもよいですか?
契約書や管理会社の承諾なしに壁紙や床を変えると、退去時に原状回復を求められる場合があります。国土交通省の原状回復ガイドラインは、経年変化や通常の使用による傷みは賃料に含まれ、借主の故意・過失などによる損傷を借主が直すと整理しています。工事の前に、管理会社か貸主へ可否を確認してください。
内装工事の見積りで確認すべき点は何ですか?
工事範囲、使う材料の品名や数量、諸経費の内訳、工期、追加費用が出る条件の5点です。「一式」とだけ書かれた項目は、何が含まれるか尋ねておくと、後の追加請求を防ぎやすくなります。住まいるダイヤルでは、リフォーム見積書の内容について相談できます。
訪問してきた業者に契約を迫られました。どうすればよいですか?
契約はその場でせず、家族やほかの人に相談してください。契約後でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面などで契約を取り消せます(クーリング・オフ)。迷ったときは、局番なしの188に電話すると最寄りの消費生活センターにつながります。


