オンライン診療とは?電話やチャット相談との違い
オンライン診療は、医療法で定義されている診療の一つです。 医療法第2条の2では、医師と患者がそれぞれのパソコンやスマートフォンなどを通信回線でつなぎ、映像と音声のやりとりで、相手の状態を互いに見ながら通話できる方法による診療と定められています。 つまり、顔と声が互いに確認できるビデオ通話が基本です。 厚生労働省の国民・患者向けページでも、メールやチャットのみで診療することはできないと案内されています。 指針も、リアルタイムの視覚と聴覚の情報を使うことを求めており、文字、写真、録画動画だけのやりとりで診療を終えてはいけないとしています。 名前が似ているサービスでも、法律上の扱いが違います。 指針は、医師と患者の間で情報通信機器を使って行うものを、次のように分けています。| 種類 | できること | 処方 |
|---|---|---|
| オンライン診療 | 診断や処方などの診療行為を、リアルタイムで行う | できる(条件あり) |
| オンライン受診勧奨 | 症状から疑われる病気や受診すべき診療科を伝える | できない |
| 遠隔健康医療相談 | 一般的な健康情報を伝える。医師の個別の判断は伴わない | できない |
診察の場所は自宅に限られない
患者がいる場所は、自宅でなくても構いません。 指針では、患者の勤務先なども、療養生活を営める場所として認められる例に挙げられています。 ただし、診察の内容が周りに聞こえない、通信が安定している、といった環境は必要です。 カフェや移動中の電車のように、会話が他人に聞こえる場所は避けてください。オンライン診療に保険は使える?費用の目安
オンライン診療は、保険診療として受けられる場合があります。 厚生労働省の令和8年度の医科診療報酬点数表では、情報通信機器を用いた診療に関する施設基準を届け出た医療機関が、情報通信機器を使って初診を行った場合は253点と定められています。 再診料は76点で、届出をした医療機関が情報通信機器で再診を行った場合も算定できる形になっています。 1点は10円なので、窓口負担が3割の人の目安は次のとおりです。| 項目 | 点数 | 総額 | 3割負担の目安 |
|---|---|---|---|
| 初診(情報通信機器を使用) | 253点 | 2,530円 | 約760円 |
| 再診 | 76点 | 760円 | 約230円 |
| 負担割合 | 初診(253点) | 再診(76点) |
|---|---|---|
| 1割 | 約250円 | 約80円 |
| 2割 | 約510円 | 約150円 |
| 3割 | 約760円 | 約230円 |
初診からオンライン診療は受けられる?かかりつけ医との関係
初診からオンライン診療を受けることは、条件つきで可能です。 指針では、初診は「かかりつけの医師」が行うのが原則とされています。 ここでいう「かかりつけの医師」は、日頃から直接の対面診療を重ねるなど、患者と直接的な関係がすでにある医師を指します。 初診で必要な情報は、問診と映像で診る範囲に限られます。 触診や検査ができないため、普段の状態を知っている医師のほうが安全に判断できる、という考え方です。かかりつけ医以外でも受けられる場合
かかりつけの医師以外でも、次のどちらかを満たせば、初診からオンライン診療を行える場合があります。- 既往歴、服薬歴、アレルギー歴などの医学的情報を、過去の診療録、診療情報提供書、健康診断の結果、お薬手帳などから把握でき、医師が可能と判断した場合
- 事前に「診療前相談」を行い、医師と患者の双方がオンライン診療を可能と判断して合意した場合
- かかりつけの医師がオンライン診療を行っていない、または休日や夜間で対応できない
- 患者にかかりつけの医師がいない
- かかりつけの医師が、オンライン診療に対応している専門的な医療機関に紹介する、またはセカンドオピニオンのために受診する
オンライン診療に向かない症状もある
指針は、日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」などを踏まえて、医師がオンライン診療の可否を判断するとしています。 向かないと判断されれば、対面診療を受けるか、対面できる医療機関を紹介されます。 緊急性が高い症状では、速やかに対面での受診が促されます。 オンライン診療が受けられないことは、診察の質が低いという意味ではありません。 安全のための判断です。初診で処方できない薬と日数の制限
オンライン診療でも薬は処方されますが、初診には制限があります。 指針では、初診の場合に次の処方は行わないとされています。- 麻薬および向精神薬の処方
- 基礎疾患などの情報が把握できていない患者への、特に安全管理が必要な薬(診療報酬の薬剤管理指導料「1」の対象となる薬)の処方
- 基礎疾患などの情報が把握できていない患者への、8日分以上の処方

ピルは緊急避妊薬とは扱いが異なるため、受診する医療機関の説明を確認してください。
オンライン診療ができる医療機関の探し方
厚生労働省は、オンライン診療を実施している医療機関の探し方として、次の2つを案内しています。- 全国の医療機関を検索できる「医療情報ネット(ナビイ)」
- 情報通信機器を用いた診療の施設基準を届け出ている医療機関のリスト(各都道府県が公表)
看護師が同席するオンライン診療もある
指針には、患者が看護師などと一緒にいる状態で受けるオンライン診療(D to P with N)も示されています。 患者の同意のもと、医師が看護師などに診療の補助行為を指示し、検査などを看護師を介して行う仕組みです。 令和8年度の診療報酬改定では、この形のオンライン診療について、訪問看護に関する評価が新しく設けられました。 自宅で医療や介護を受けている人は、訪問診療や訪問看護を担当する医療機関に、利用できるかを聞いてみてください。 また、医療法では、医師が勤務する医療機関に対して、患者がオンライン診療を受ける場所として提供される施設を「オンライン診療受診施設」と定義しています。 自宅の通信環境が不安な人は、受診先に使える施設があるかも確認してみてください。オンライン診療に必要なものと準備
厚生労働省の患者向けページに載っている、オンライン診療に必要なものは次のとおりです。- パソコン、スマートフォン、タブレットなどの機器:カメラとマイクが使えるもの
- インターネット接続:映像と音声が途切れにくい環境
- プライバシーが守られる場所:診察内容が周囲に聞こえない場所
- 本人確認書類:厚生労働省の案内に例として挙がっているのは、マイナンバーカード、運転免許証、パスポート
- 保険の資格確認に使うもの:保険診療の場合に必要。厚生労働省の案内では健康保険証とされている
診察の前に準備しておくこと
診察時間は限られています。 次の内容をメモにまとめておくと、医師に伝えやすくなります。- いつから、どんな症状があるか
- 飲んでいる薬の名前(お薬手帳があれば手元に置く)
- 過去の病気、手術、アレルギー
- 体温や血圧など、自宅で測れる数値
- 薬を受け取りたい薬局の名前
オンライン診療の受診の流れ
多くの医療機関では、次のような流れで受診します。 細かな手順は医療機関ごとに違うため、予約時の案内を優先してください。- 受診先を探す:まず、かかりつけの医師にオンライン診療をしているか尋ねます。いない場合は、厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」や、各都道府県が公表している実施医療機関のリストで探します。
- 予約と事前の入力:予約し、問診票や本人確認書類の画像を送ります。使用するアプリやシステムも、この段階で案内されます。
- 診察の前の準備:予約時間の前に、通信と音声、カメラを確認します。静かな場所で、本人確認書類を手元に置いておきます。
- ビデオ通話で診察:医師が本人確認と問診を行い、画面越しに診察します。治療方針や次回の診察、緊急時の連絡方法についても説明を受けます。
- 支払い:クレジットカード払い、後日の窓口払い、後日の振込など、医療機関によって異なります。
- 薬の受け取り:処方があれば、利用する薬局を医療機関に伝えます。診察のあと、薬局でオンライン服薬指導を受け、薬が配送されます。医療機関や薬局に行って服薬指導を受ける必要がある場合もあります。
スグレタブログ編集部オンライン診療が向いている人・向いていない人
オンライン診療は、病気や状況によって向き不向きがあります。 指針は、適切な例の一つとして、生活習慣病などの慢性疾患で、定期的な対面診療の一部をオンラインにする、またはオンライン診療を追加して管理の継続性を高める例を挙げています。 厚生労働省の患者向けページにも、効果として次のような例が載っています。- 在宅の訪問診療とオンライン診療を組み合わせて、受診の機会が増えた
- 糖尿病などの慢性疾患で、通院とオンライン診療を組み合わせて、治療を続けやすくなった
- 医療機関が遠く、通院が難しかったが、受診しやすくなった
- 感染症が流行しているときも、人と接触せずに受診できた
- 育児や介護、仕事で通院が難しかったが、受診しやすくなった
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 持病の定期受診、薬の継続 | かかりつけの医師が対応していれば、オンライン診療を使いやすい |
| 初めての症状で、かかりつけの医師がいない | 診療前相談が必要になる場合がある。症状によっては対面を勧められる |
| 強い痛み、息苦しさ、意識がおかしいなど | オンライン診療を待たず、救急要請(119番)や救急外来を考える |
| 向精神薬などの処方を希望 | 初診では処方できない。受診前に、対面診療が必要なことを理解しておく |
| 触診や検査が必要な症状 | オンラインでは判断が難しく、対面診療を案内されることが多い |
オンライン診療を受ける前に知っておきたい点
便利なぶん、確認しておきたい点があります。医療機関が指針を守っているかを確認する
指針は、オンライン診療を行う医療機関に、指針を守っていることをホームページや院内掲示などで公表することを求めています。 令和8年4月の改訂では、公表の方法として、チェックリストをホームページに載せることも考えられると追記されました。 令和8年度の診療報酬改定でも、保険診療で情報通信機器を使う医療機関の施設基準に、チェックリストの掲載や医療広告ガイドラインの遵守が加わっています。 厚生労働省は患者向けに「安心・安全にオンライン診療を受けるためのチェックリスト」も公表しています。 予約する前に、次の点を見ておくと判断しやすくなります。- 医師の氏名、所属、医療機関の問い合わせ先が分かるか
- 保険診療か自由診療か、料金が書かれているか
- 初診で向精神薬を処方しないことが書かれているか
- 診察のあとに対面診療へつなげる体制があるか
- 診察に使うシステムと、個人情報の扱いの説明があるか
診察中のなりすましや第三者に注意する
指針は、意図しない第三者が通信に入り込む「三者通信」や、患者のなりすましが起きていないか、医師が注意することを求めています。 家族に診察の説明を一緒に聞いてもらいたいときは、事前に医師の同意を得てください。 無断で同席させたり、画面を録画したりすると、トラブルになる可能性があります。 また、診察中に患者がQRコードやURLを医師に見せて開いてもらう方法は、医療機関側のセキュリティ上のリスクが高いため、避けることが望ましいと指針に書かれています。 医師から求められたとき以外は、自分から不明なリンクを持ち出さないようにしてください。
スグレタブログ編集部診療広告のルールも関わる
オンライン診療を行うクリニックのサイトは、医療広告ガイドラインの対象です。 効果を断定する表現や、体験談を使った誘引などがあるサイトには、慎重になったほうが安心です。 広告のルールについて、ホルモン補充療法を例にした記事もあります。
この記事は医療機関側の視点が中心ですが、広告規制の考え方は、サイトを見る側にも役立ちます。
困ったときの相談先
オンライン診療で困ったことがあれば、次の窓口を使い分けます。| 困りごと | 相談先 |
|---|---|
| 診察や処方の内容に不安がある | まず受診した医療機関。解決しない場合は、地域の医療安全支援センター |
| 診療の実施方法が指針に反していると感じる | その医療機関を所管する保健所(厚生労働省の案内による) |
| 料金や契約、キャンセルでトラブルになった | 電話で「188」にかけると、最寄りの消費生活センターなどの窓口を案内してもらえる消費者ホットライン |
| 症状が急に悪くなった | 救急要請(119番)、または近くの医療機関 |
オンライン診療のよくある質問
オンライン診療は保険がききますか?
保険診療として受けられる場合があります。厚生労働省の令和8年度の点数表では、届出をした医療機関が情報通信機器で初診を行うと253点、再診は76点です。3割負担なら、初診は約760円、再診は約230円が目安です。検査や処方箋料、薬局での費用は別にかかります。保険のきかない自由診療の場合は、医療機関が料金を決めます。
電話やLINEのチャットだけで診てもらえますか?
できません。厚生労働省は、メールやチャットのみで診療することはできないとしています。オンライン診療は、医療法で映像と音声のやりとりによる診療と定められており、指針も文字、写真、録画動画だけで診察を終えてはいけないとしています。
初診からオンライン診療を受けられますか?
受けられる場合があります。指針では、初診は普段から対面で診ている「かかりつけの医師」が行うことが原則とされています。ただし、かかりつけ以外の医師でも、過去の診療録やお薬手帳などから医学的情報を把握できて可能と判断した場合や、診療前相談で双方が合意した場合は、初診から行えます。症状によっては対面診療を案内されます。
初診で処方してもらえない薬はありますか?
あります。初診では、麻薬と向精神薬は処方されません。基礎疾患などの情報が把握できていない場合は、特に安全管理が必要な薬の処方や、8日分以上の処方もできません。厚生労働省は「オンライン診療で処方を受けるに当たって注意が必要なお薬一覧」を公表しているので、受診前に確認してください。
薬はどうやって受け取りますか?
診察のあと、利用する薬局に相談します。厚生労働省の案内では、薬局でオンライン服薬指導を受けたあと、薬が配送されます。医療機関や薬局に行って服薬指導を受ける必要がある場合もあるため、予約のときに受け取り方法を確認してください。
診察中に症状が悪化したらどうなりますか?
医師が適切でないと判断した場合は、オンライン診療を中止し、速やかに対面診療に切り替えます。急に強い症状が出たときは、予約や診察を待たずに119番に連絡してください。


