2016年にスタートした「電力自由化」によって、日本の電気料金の仕組みは大きく変わりました。
それまで地域ごとの大手電力会社が独占的に電力を供給していましたが、現在では多数の新電力会社が登場し、消費者自身が契約先を自由に選べる時代になっています。
「今の電気代、見直した方がいいのかな?」
そんな疑問を持っている方に向けて、この記事では電力自由化の基本から、実際に電気料金を下げるためのヒントまで、わかりやすく解説していきます。
家庭のライフスタイルや価値観に合わせて最適な電力会社を選ぶことで、家計の節約にも大きくつながります。
ぜひ最後までチェックしてみてください。
はじめに:電力自由化で“選べる時代”に
2016年に「電力の小売全面自由化」がスタートしました。
これにより日本全国の家庭や事業所は、それまで地域独占だった大手電力会社以外にも、さまざまな「新電力会社(PPS)」から自由に電気を購入できるようになりました。
これは、ただの制度変更ではなく、「暮らしのコストを見直すチャンス」でもあります。
特に電気代が高いと感じている方や、固定費の見直しを考えている方にとっては、電力会社選びは毎月の支出に直結する重要なテーマです。
この記事では、電力自由化の背景と仕組み、そして2025年現在の電力選びのポイントを、初心者にもわかりやすく解説します。
電力自由化とは?仕組みと背景を知ろう
なぜ自由化されたのか
かつて日本では、東京電力・関西電力など、地域ごとに決められた大手電力会社しか選べませんでした。
この「地域独占」は、安定供給のメリットがある一方で、価格競争が起こらず、消費者にとっては選択肢がない状態でした。
しかし、東日本大震災や原発事故などを機に「多様な電源構成の必要性」や「再生可能エネルギーの拡大」が叫ばれるように。
政府は競争促進のために電力市場の自由化を段階的に進めました。
そして2016年4月、一般家庭向けも含めた「電力小売全面自由化」が実現し、消費者は自分に合った電力会社を選べるようになったのです。
電力会社の仕組み(発電・送電・小売)
段階 | 内容 | 主な担当企業 |
---|---|---|
発電 | 電気を作る | JERA、関西電力など |
送電 | 電気を送る | 東京電力パワーグリッドなど(地域送配電) |
小売 | 電気を売る | Looopでんき、ドコモでんきなど |
自由化されたのは「小売」部分です。
つまり、発電や送電はこれまで通り大手が担当しており、契約先を変えても“停電が増える”などの不安は基本的にありません。
電力自由化のメリットとは?
基本料金ゼロで節約効果が大きい
電気の使用量が比較的少ないご家庭では、従来型の「基本料金+従量料金」の契約では、固定費部分が負担になりがちです。
自由化によって登場した「基本料金ゼロ」や「従量課金型」の新電力プランは、使用量が少ない人に非常に有利です。
必要な分だけ支払うシンプルな設計のため、無駄な出費を抑えやすく、節約意識の高い方には特におすすめです。
自分に合った“ライフスタイル連動プラン”が選べる
新電力会社の中には、以下のような多様な料金体系を提供している会社もあります。
- 夜間が安い「ナイトプラン」:夜型生活に最適
- 朝夕特化型プラン:共働き家庭や夜勤明けの方に
- 再エネ100%:環境意識が高い層向け
- ポイント還元付き:楽天・dポイント・Amazonギフト券など
新電力に変えるデメリットはある?
「安すぎる」には注意!燃調費の罠
「基本料金ゼロ」「今だけ◯%オフ」といった言葉に惹かれて契約してみたものの、数か月後に「思ったより高い請求が来た…」というトラブルは少なくありません。
その原因の多くは、燃料費調整額や再エネ賦課金の扱いにあります。
これらは電力の仕入れ価格や市場価格に応じて毎月変動する仕組みですが、新電力の中にはこの変動分が高く設定されているものもあり、透明性が乏しいプランもあります。
特に「市場連動型」や「スポット価格連動型」と記載されているプランは、電力卸売市場の価格変動をダイレクトに受けます。
そのため、冬場や夏場など使用量が増える時期には一気に請求額が跳ね上がるリスクがあります。
逆に、価格が下がれば安くなる可能性もあるため、自分のリスク許容度を踏まえて選ぶことが大切です。
料金表の単価だけでは判断できないことも多いため、必ず「料金シミュレーター」や「月ごとの想定支払額」で事前に比較するようにしましょう。
キャンペーン価格ばかりを見て決めてしまうと、結果的に従来の電力会社より高くなるケースもあるため、「長期で見た時に本当にお得かどうか」を見極める視点が欠かせません。

サポート体制・解約金にも注意
電力会社を選ぶ際に見落とされがちなのが、「トラブル時のサポート体制」や「契約時の縛り条件」です。
特に新電力はコストカットを重視している会社も多いため、電話対応を行っていなかったり、メールの返信が数日かかったりと、サポートの質にばらつきがあります。
契約後に「問い合わせが全然つながらない」「解約方法が分かりづらい」と困らないためにも、事前のチェックが重要です。
また、キャンペーン特典を利用して契約した場合、「半年以内の解約でギフト券返還」「1年未満は解約手数料が発生」といった条件がついていることもあります。
公式サイトの小さな文字に記載されているケースも多いため、利用規約やFAQページをしっかり確認しておくことをおすすめします。
さらに、スマートフォンやパソコンで契約内容を簡単に確認・変更できるかどうかも大切なポイントです。
アプリやマイページの操作性が悪いと、毎月の電気使用量や請求額を把握するのが手間になり、結果的に節約にもつながりません。
サポート体制・UI・解約条件を含めて「安心して長く使えるか」を重視して選びましょう。



電力会社選び5つの視点
1. 基本料金ゼロ vs 従量課金型
電気料金の構成には「基本料金」と「従量料金」の2つがあります。
大手電力会社の多くは「基本料金あり」のプランを提供しており、電気をあまり使わない月でも一定の金額がかかります。
一方、Looopでんきや楽天でんきなどの新電力会社は「基本料金ゼロ」のプランを提供しており、使用量が少ないご家庭では非常に経済的です。
逆に、エアコンや電子レンジなどを頻繁に使う生活なら、従量単価が安いプランの方が結果的に安く済むこともあるため、自分のライフスタイルに合わせた選択が重要です。
2. 再エネ比率・CO₂排出量
電気の“質”にも注目する人が増えており、再生可能エネルギー(再エネ)由来の電気を選ぶことで、環境負荷を抑えるライフスタイルを実現できます。
オクトパスエナジーやシン・エナジーなどは、電源構成の再エネ比率を開示しており、グリーン電力を100%にできるオプションもあります。
CO₂排出量が少ない電力を選ぶことは、日常の中でできる「脱炭素アクション」の一つでもあります。
「電気料金の安さ」だけでなく、「地球にやさしい電力かどうか」も選択基準に含めると、より納得感のある契約ができるでしょう。
3. ポイント連携・キャンペーン特典
電気を使うだけでポイントが貯まるのは、日常生活にうれしいメリットです。
楽天でんきでは楽天ポイント、ドコモでんきではdポイントが付与され、貯まったポイントはそのまま電気代に充てたり、ECサイトで使ったりすることが可能です。
さらに、Amazonギフト券のプレゼントや友達紹介キャンペーンを行っている電力会社も多く、契約時に得られる初回特典をうまく活用すれば、実質的なコストを大幅に下げることができます。
ただし、期間限定や条件付きの場合もあるため、詳細は事前に必ずチェックしましょう。
4. 引越し・短期利用のしやすさ
単身赴任や家族の転勤、学生の一人暮らしなど、ライフスタイルの変化による引っ越しは誰にでも起こり得るものです。
そんな時に気をつけたいのが「最低契約期間」や「解約金」の有無。
多くの新電力会社は縛りなし・解約金なしの柔軟なプランを提供していますが、特典付きキャンペーンを利用すると「半年以内の解約でキャッシュバック無効」といった条件が付くケースもあります。
転居予定がある人は、解約手続きの簡便さや、再契約時の特典有無なども含めて比較するのがポイントです。
5. UI・アプリの使いやすさ
日々の電気使用量や料金を「見える化」するためには、スマホやPCでの管理がしやすいかどうかも重要なポイントです。
Looopでんきやオクトパスエナジーなどは、グラフ表示・日別の使用量推移・請求履歴の閲覧など、使いやすいマイページやアプリを提供しています。
逆に、マイページが使いづらかったり、情報が見つけにくかったりすると、節電のモチベーションが続かないことも。
毎月の請求に敏感な人や、家計をしっかり管理したい人にとっては、UI/UXの快適さが意外と大きな差を生む要素となります。
また、より詳しい比較は以下の記事も参考にしてみてください▼
電力会社・新電力おすすめ比較ランキング!お得で安い電気代に乗り換えるプラン探し!
電力会社切り替えの流れ
- 検針票を準備(使用量と契約内容確認)
- 比較サイトや公式HPで情報収集
- 申し込み(スマホやPCで完結)
- スマートメーターの確認(設置・無料工事)
- 切り替え完了(約1か月以内)
FAQ(よくある質問)
切り替え時に停電することはありますか?
- 基本的にはありません。
電力会社の切り替えは「小売部門の契約変更」だけであり、送電インフラ(電柱・電線など)は地域の大手電力会社が引き続き管理しています。
そのため、停電の頻度や電力の品質にはほとんど影響がありません。
ただし、まれにスマートメーターの設置作業が必要な場合、短時間(数分程度)の電気停止が発生するケースがありますが、事前に通知されることが一般的です。 スマートメーターがないと契約できませんか?
- 基本的にはスマートメーターが必要ですが、ほとんどの住宅にはすでに設置されています。
もし未設置の場合でも、多くの電力会社が無料で交換・設置を行ってくれます。
集合住宅や古い住宅では管理会社の許可が必要になることもあるため、念のため事前に確認しておくと安心です。
申し込み時に「設置が必要かどうか」も含めて案内があるので、特別な知識がなくても問題ありません。 途中でやめたくなったらどうなりますか?
- 解約金がかからないプランを選んでいれば、途中解約しても費用負担はありません。
ただし、いくつかの電力会社では「◯ヶ月以内の解約は手数料が発生」などの条件があるため、契約前に利用規約をしっかり読んでおくことが大切です。
特典キャンペーンを利用している場合は、短期間で解約するとキャッシュバック対象外になることもあるので注意が必要です。 何か準備は必要ですか?
- 基本的には検針票(または電気の請求書)が1枚あればOKです。
そこに記載されている「供給地点特定番号」や「お客様番号」が、契約切り替え時に必要となります。
現在契約している電力会社の名前や使用量の目安が分かれば、比較もしやすくなります。
スマートフォンから手続きできる場合も多く、手続き自体は5〜10分程度で完了することがほとんどです。
まとめ|自由化を活かして“自分に合った電力会社”を選ぼう
電力自由化は、単なる制度変更ではなく、「自分の暮らしを見直すチャンス」です。
- 使用量が少ないなら基本料金ゼロ型が有利
- ポイントや特典でさらに節約可能
- ライフスタイルに合った会社を選べば、ストレスも減る
2025年現在、乗り換えのハードルは非常に低く、スマホ1つで申し込みから切り替えまで完結します。
ぜひこの機会に、あなたにとって最適な電力会社を見直してみてください。