パートナーの浮気を疑い、まず頭に浮かぶのは「GPSでの追跡」ではないでしょうか。
「費用をかけずに、まずは自分で居場所を確かめたい」という気持ちは痛いほどわかります。
しかし、安易なGPS調査には、あなたが想像する以上に深刻で、取り返しのつかない代償が潜んでいます。
自力でのGPS追跡は、一見手軽に見えますが、法的リスク、証拠の無効化、パートナーとの関係悪化という、三つの大きなトラブルを招きます。
特に2017年の法改正以降、配偶者の車両に無断でGPSを仕掛ける行為は、ストーカー規制法に抵触する可能性がある、非常に危険な行為となったのです。
この記事では、自分でGPS調査を試みる際の具体的な「やり方」と、それに伴う法的リスク、そして集めた情報の決定的な限界を徹底的に解説します。
最終的に、あなたが安全かつ確実に裁判で通用する証拠を手に入れ、問題を解決するために、プロの探偵に依頼すべき理由と、その賢い判断基準が明確になるでしょう。
自分でやるGPS浮気調査のやり方と潜む法的リスク
自分でパートナーの浮気調査をする際、多くの方が試みるGPS調査には、それぞれ法的なリスクが隠されています。
これらのリスクは、単なる失敗ではなく、あなたが刑事罰の対象となる可能性を秘めているのです。
車両へのGPS発信機設置:法的リスク一覧

| リスク項目 | 説明 | 想定される法的結果(刑事/民事) |
|---|---|---|
| ストーカー規制法違反 | 相手の承諾なく車両などにGPS機器を取り付け、継続的に位置情報を取得する行為は「つきまとい等」として規制対象となる(2017年改正以降)。 | 刑事罰(懲役または罰金)/該当する場合は民事責任も |
| プライバシーの侵害 | 無断で継続的に監視することは、個人の権利や自由を侵害する行為となりうる。配偶者であっても無断継続監視は民事訴訟の対象となるリスクがある。 | 民事賠償請求(慰謝料等)/状況により刑事責任の追及も |
| 証拠の違法収集 | 裁判所は違法な手段で集められた証拠の採用に慎重。違法に取得したGPS記録は「違法収集証拠」として無効と判断される可能性が高い。 | 証拠排除(裁判で採用されない)/民事・刑事手続きで不利 |
スマートフォンへの追跡アプリ無断インストール
やり方:
パートナーのスマートフォンが手元にある間に、無断で監視・追跡アプリ(ケルベロス、スパイアプリなど)をインストールし、位置情報だけでなく、メッセージや通話履歴を盗み見ようと試みます。
不正アクセス禁止法違反:
パートナーのスマホのパスワードを無断で利用してロックを解除し、アプリをインストールする行為は、不正アクセスにあたります。
これは刑事罰の対象となる重大な犯罪です。
通信の秘密の侵害:
LINEやメールなどの通信内容を無断で閲覧・記録する行為は、「通信の秘密」を侵害する行為であり、違法性が非常に高いです。
GPS記録の「証拠」としての決定的な限界
| 何がわかるか(GPSで得られる情報) | 裁判での位置づけ(有効性) | 不足している点/補う方法 |
|---|---|---|
| 位置情報・滞在時間(いつどこにいたか) | 浮気の疑いを強める補助的証拠に留まる | 肉体関係そのものを証明できない。ホテル出入りを捉えた鮮明な写真・動画や、複数回の継続的な証拠で補強する必要がある。 |
| 特定の場所(浮気相手宅やホテルの駐車場)への出入り履歴 | 単独では決定的証拠になりにくい | 出入りの瞬間を連続した時系列で撮影した写真・動画、滞在時間や密室性を示す付随情報で補う必要がある。 |
| 行動パターン(移動のクセや頻度) | 調査の方針決定や尾行の予備情報として有用 | 裁判で有効にするには、プロによる尾行・撮影で決定的瞬間を押さえ、法的要件を満たした報告書にまとめる必要がある。 |
仮に法的なリスクを回避できたとしても、GPS記録には「裁判で通用する証拠」としての決定的な限界があります。
不貞行為の証明不足:
GPSで浮気相手の家やホテルの駐車場にいたという事実はわかっても、それは「浮気の疑いを強める材料」でしかありません。
法律上の「不貞行為」は肉体関係の存在を指し、GPSでは肉体関係そのものを証明できません。
裁判所の判断:
裁判官は、単なる位置情報や滞在時間だけで不貞行為があったとは認定しません。
慰謝料請求や離婚を有利に進めるためには、ホテルへの出入りの瞬間を捉えた鮮明な写真・動画が不可欠なのです。
プロの調査の必要性:
GPSで場所を特定した後、そこから決定的な瞬間を撮影するには、高度な尾行・張り込みの技術が必要です。
この重要な最後の段階でプロの技術がなければ、せっかくのリスクを冒した調査も、法的には無意味に終わる可能性が高いでしょう。
プロの探偵に依頼するGPS調査の活用と法的安全性

自分でGPS調査を試みるリスクを知れば、「プロの探偵に依頼する」ことが、いかに合理的で安全な選択肢であるかが理解できるはずです。
探偵は、違法なGPS追跡を避けつつ、その情報を最大限に活用して確実に証拠を収集します。
探偵が行うGPS調査の「合法的な活用」
探偵事務所は探偵業法に基づき、聞き込みや尾行、張り込みといった合法的な手段で調査を行います。
違法行為は厳しく避けられています。
依頼者所有物の活用:
探偵がGPSを使用する場合、原則として依頼者自身の所有物(依頼者の名義の車両など)に限定して利用します。
これにより、パートナーのプライバシーを侵害するリスクを回避します。
行動パターンの把握:
GPS情報は、ターゲットが「いつ、どこへ行くか」という行動パターンを掴むための予備調査として活用されます。
この情報があることで、調査員は無駄な待機時間を減らし、調査の効率と成功率を飛躍的に高めることができます。
情報提供の重要性:
依頼者が保有しているGPS記録やLINEの履歴といった不完全な情報であっても、探偵にすべて正直に伝えることで、調査時間を短縮でき、結果的に費用削減につながります。
決定的な証拠(写真・動画)取得の流れ
プロの探偵は、GPS情報を単なる位置情報で終わらせず、裁判で勝てる証拠にします。
ターゲットの行動予測と監視:
依頼者からの情報とGPS記録を基に、浮気行動が起こりやすい日時と場所を予測します。
調査員は、その場所や動線に複数名体制で配置されます。
決定的な瞬間の撮影:
パートナーと浮気相手がホテルや密室に二人で出入りする瞬間を、高性能なカメラで鮮明かつ客観的に記録します。
夜間や悪天候下でも証拠の鮮明さを担保する技術と機材が不可欠です。
法的に有効な報告書の作成:
取得した証拠は、写真だけでなく、連続した時系列の記録、詳細な調査員の手記、日時・場所の正確な記載を含めた報告書としてまとめられます。
この報告書は、弁護士と連携して作成されるため、裁判で無効になるリスクを完全に排除できるのです。
失敗しない探偵事務所選び:GPSリスク回避のためのチェックリスト

GPS調査の危険性を理解したならば、「どの探偵に依頼するか」が問題解決の成否を分けます。
法令を無視する悪質な事務所を選ばないため、以下のチェックリストでしっかりと見極めましょう。
法令遵守と技術力の確認
「GPS無断使用」への姿勢を問う:
相談時に、パートナーの車へのGPS無断装着を積極的に勧める、または「バレなければ問題ない」といった説明をする事務所は、法令意識が低い証拠です。
調査方法の適法性について明確に説明を求めることが重要です。
探偵業届出番号の確認:
公安委員会に提出された「探偵業届出証明書」が事務所の目立つ場所に掲示されているか、または契約書に記載されているかを必ず確認してください。
無届出の業者は違法である可能性が高いです。
調査報告書の質のチェック:
報告書のサンプルを見せてもらい、写真の鮮明さ、時系列の連続性、法的に必要な記載事項(日時、調査員名など)がプロの基準を満たしているかを確認します。
ブレた写真や日時記載のない報告書は、裁判では無価値になります。
調査体制と技術力の確認:
尾行の成功率を高めるため、調査員が自社の社員であり、都市部では3名以上の複数体制で行われるかを確認しましょう。
単独調査にこだわる事務所は、調査失敗のリスクが高いだけでなく、人件費を抑えるための調査の質の低さを示している可能性があります。
料金体系と費用対効果の検証
追加料金の発生条件の透明化:
GPS調査後の尾行・張り込みで発生する追加費用(車両費、深夜手当、機材費など)の発生条件を、口頭だけでなく契約書で明確にしてください。
曖昧な契約は、後で高額な請求を招く最大の原因です。
「自分で失敗するコスト」との比較:
自分で調査して失敗し、結局プロに再調査を依頼して費用が二重にかかるケース(再調査コスト)を想定しましょう。
一度で確実な証拠を取得できるプロへの依頼こそが、結果として最も安く済む経済的な選択肢であると認識してください。
弁護士との連携サポートの有無:
探偵事務所が弁護士を紹介できる体制にあるか、また、調査報告書提出後に弁護士への引き継ぎや、報告書の説明に協力してくれるかを確認してください。
証拠の取得は問題解決の中間地点であり、その後の法的手続きまでサポートしてくれる事務所こそが優良です。
精神的・時間的な費用対効果の考慮:
自分で調査に費やす時間や、発覚の恐怖、精神的なストレスといった「心理的なコスト」は、金銭的なコスト以上にあなたを消耗させます。
プロに任せることで、あなたが仕事や精神的な回復に集中できる時間を取り戻せるという、目に見えない費用対効果も重視しましょう。
まとめ:GPS調査の限界を知り、賢くプロを活用する
GPSを使った自力調査は、手軽さという誘惑の裏に、違法行為による刑事罰のリスクと、集めた証拠が裁判で無効になるという二重の危険性を抱えています。
あなたが勇気を出して行動したその努力が、法的なリスクや証拠の無効化によって水泡に帰してしまうのは、あまりにも大きな代償。
問題の確実な解決を目指すのであれば、「証拠の質」を最優先にすべきです。
リスク回避の優先:
GPS無断装着といった違法行為を避け、安全かつ法を遵守した方法を選ぶこと。
プロの技術の活用:
GPS情報を行動予測に使い、決定的な瞬間をプロの技術で確実に押さえること。
費用の考え方:
自分で失敗して二重のコストを払うより、一度で確実に解決するプロへの依頼が、結果的に最も費用対効果が高いと知ること。
後悔しないためには、法律をきちんと守る探偵事務所を選ぶこと。
そうすれば、安全と確実な解決につながります。
FAQ
- 自分でGPSを仕掛けたことがバレたら、刑事告発や民事訴訟の対象となり、あなたが逆に慰謝料を請求される可能性があります。
さらに、パートナーは浮気行動を徹底的に隠すため、その後の証拠収集が極めて困難になり、問題解決が遠のくでしょう。 - GPSの履歴を弁護士に見せても、それは「不貞行為があった」という決定的な証拠にはなりません。
弁護士は、それを「浮気を疑う根拠」や調査方針を立てるための参考情報として活用しますが、慰謝料請求の決定打にはならないことを理解しましょう。 - 探偵は依頼者に代わってパートナーの車にGPSを仕掛けることはありません。
優良な探偵事務所は絶対にそのような違法行為を行わず、探偵業法により人権を侵害する調査は禁止されています。
悪質な探偵を選んでしまうと、あなた自身も法的なリスクを負うことになりかねません。 - GPS調査で居場所がわかったとしても、自分でホテルに乗り込むのは絶対に避けてください。
感情的になって現場に乗り込むと、証拠を失うだけでなく、夫婦関係を修復できる可能性を完全に断ち切ることになります。
また、相手に怪我をさせれば、暴行罪や傷害罪に問われるリスクも生じます。
証拠はプロに任せ、あなたは冷静さを保つことが重要です。 - GPSで浮気相手の家が分かった場合も、自分で乗り込むことは状況を最悪にします。
証拠の無効化として、自分で乗り込んでしまうと証拠写真を撮るタイミングを逃し、決定的な証拠が二度と手に入らなくなる可能性が高いです。
刑事罰のリスクとして、相手の住居に無断で立ち入ると住居侵入罪に問われ、感情的な言動で相手に危害を加えれば、あなたが加害者となるでしょう。
プロへの引き継ぎとして、居場所が判明した際は速やかに探偵事務所に情報提供し、プロに合法的な証拠収集を任せるのが最善策です。








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